資金繰りと融資・約6分
カード売上が取り消されたら、どう動く?
公開・あさひ国際会計株式会社

先に結論
決済会社から取消しの通知が来たら、期限と理由を確認します。取引の証拠をそろえ、二重返金を避けながら入金減少に備えます。
1. 通知が来た日は、期限と対象の売上を確認する
カード売上の取消し通知が届いたら、その日のうちに決済会社の管理画面を開き、回答期限と対象の取引を確認します。慌ててお客さんへ返金すると、決済会社側の処理と重なるおそれがあります。
カードの利用者が「身に覚えがない」「商品が届いていない」などと申し立て、カード会社の判断で売上が取り消される仕組みを、チャージバックと呼びます。ただし、届いた通知が問い合わせの段階なのか、すでに代金を差し引く手続きに進んでいるのかで、対応は変わります。件名だけで判断せず、本文と管理画面を読み合わせてください。
最初に控える項目は、次のとおりです。
- 対象取引の番号、決済日、金額
- 申立ての理由と現在の処理状況
- 回答期限と証拠の提出方法
- 入金の保留、差引き、手数料の案内
回答期限は、お客さんへの連絡より先に予定表へ入れます。 締切の時刻やタイムゾーンが不明なら、決済会社に確認してください。不審なメールの場合はリンクを使わず、普段利用している管理画面から通知を探します。
2. 「何を争われているか」で集める証拠が変わる
次に、注文から納品までの記録を一つのフォルダへ集めます。創業直後は、注文メールは社長の受信箱、発送記録は配送サービス、作業の承認はチャットと、記録が散らばりがちです。まず対象の一件だけ、日付順に並べてください。
集める資料は申立ての理由に合わせます。「届いていない」という申立てに商品の説明資料を大量に送っても、受取りの事実は伝わりません。
- 未着の申立てには、発送日、配送先、追跡番号、配達記録をそろえます。
- 内容が違うという申立てには、注文時の商品説明、合意内容、納品物、やり取りをそろえます。
- 解約や返金に関する申立てには、購入時に示した条件、解約の受付日、返金処理の記録をそろえます。
- 身に覚えがないという申立てには、注文情報や利用記録など、決済会社が指定する資料をそろえます。
サービス業なら、面談への参加記録や納品後の承認メールも確認します。ただし、提供した事実を示す記録だけで、カード本人の利用まで証明できるとは限りません。手元にある記録と、そこから確認できる事実を分けて整理します。
提出用には「いつ注文を受け、何を提供し、どの資料で確認できるか」を短く添えます。関係のない顧客情報は混ぜず、指定された形式と容量に収めてください。
3. 返金する前に、決済会社の処理を確かめる
資料が集まったら、自社側に未発送や返金漏れがないか確認します。実際に注文どおり提供できていないなら、その事実を踏まえて、申立てを受け入れる手順を管理画面や窓口で確認します。提供済みで反論する根拠がある場合は、期限内に証拠を提出します。
返金とチャージバックへの対応は、一緒に管理します。 すでに返金した注文なら、返金日、金額、処理番号を決済会社へ伝えてください。処理が進んでいる間に別途銀行振込をすると、同じ代金を二度戻すおそれがあります。
窓口には、対象の取引番号を添えて次を確認します。
- 現在の段階で、自社から返金操作をしてよいか
- 返金済みの場合、どの記録を提出するか
- 申立てを受け入れる場合、どの操作が必要か
お客さんへの連絡が必要な場合も、最初から不正利用と決めつけません。「対象のご注文について、受取り状況を確認したくご連絡しました」と、確認したい事実を絞ります。相手が申立てを取り下げると言っても、それだけで対応を終えず、決済会社側の手続きと提出期限を確認してください。
4. 入金が減る日に、支払いが重ならないか見る
証拠を提出しても、すぐに代金が戻るとは限りません。争っている間の扱いや最終的な判断は、決済会社の案内で確認します。その間に家賃や外注費の支払日が来るため、対応と並行して資金繰り表を直してください。
確認するのは取消し額だけではありません。売上の入金から差し引かれるのか、残高が保留されるのか、登録口座から引き落とされるのかを調べます。手数料の有無や、申立てが退けられた場合の返還条件も契約によって異なります。
- 次回の入金予定額と、今回の差引き予定額
- 別途発生する手数料と、その支払日
- 入金減少後の残高と、次の入金までの支払額
争っている金額は、戻る前提で支払いに充てないようにします。 まだ差引日が分からないなら、直近の入金から減る場合を仮置きして、残高が足りるか確認します。予定が判明したら更新し、同じ取消しを二度差し引かないよう、取引番号も表に残します。
5. 終了通知まで保存し、帳簿とのずれを残さない
提出後は、受付完了画面や受付メールを保存します。送信したつもりでも、資料の不備や追加の照会が残っている場合があります。追加対応の有無を管理画面で確認する日も予定表へ入れておくと、本業に戻った後の見落としを減らせます。
結果が届いたら、通知の金額と実際の入金明細を照合します。税理士には、最初の売上だけでなく、途中の差引きや最終結果までまとめて渡してください。
- 元の注文・売上の記録
- 申立ての通知と提出した資料
- 返金、差引き、手数料が分かる明細
- 最終結果と代金の返還が分かる通知
帳簿上、売上の取消しなのか、未回収の代金や損失として扱うのかは、取引の実態や結果によって判断が変わります。入金が減った額をそのまま売上から引かず、処理方法は税理士に確認してください。記録を残しておけば、税理士との相談を進めやすくなります。
一件の対応が終わったら、注文時の説明や配達記録など、今回探すのに困ったものの保存先を決めます。次の注文から同じ場所へ残せば、通知を受けてから探す時間を減らせます。
6. 今日やること
通知を受けているなら、まず対象の一件について次の作業を済ませます。まだ届いていない場合は、管理画面で通知先と入金明細の場所を確認してください。
- 回答期限と取引番号を控え、提出準備の日を予定表に入れます。
- 申立ての理由に合う注文・納品・返金の記録を一つのフォルダへ集めます。
- 決済会社に差引きと返金の扱いを確認し、資金繰り表の入金予定を直します。