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資金繰りと融資・約5

資金ショートの3か月前に打つ、現預金の手当て

公開・あさひ国際会計株式会社

先に結論

創業期の資金ショートを防ぐため、3か月前に現れる兆候と具体的な対策を解説します。早期の相談先や金融機関との交渉、支払いの順位がわかります。

1. キャッシュアウトの危機を素早く察知する資金ショートの兆し

創業1年目の会社が直面する最も恐ろしい事態は、黒字であっても手元のお金が底をつく「資金ショート(倒産)」です。日々の業務に追われていると、銀行口座の残高が減っていることに気づくのが遅れ、支払い期日直前になって慌てることになります。資金ショートを未然に防ぐためには、少なくとも3か月前に危機の兆しを察知しなければなりません。

手元の現預金が危険な水準に近づいている兆候は、以下のような数字や動きに現れます。

  • 毎月の固定費(人件費や家賃、システム費用など)の3か月分を下回る水準まで口座残高が減少し始めている。
  • 売上は上がっているものの、売掛金の回収が想定より遅れ、仕入れや外注費の支払いが先行してキャッシュアウトが増えている。
  • 毎月の資金繰り表において、数か月先の現預金残高の予測値がマイナス、または限りなくゼロに近づいている。

これらの一つでも当てはまる場合は、事態が深刻化する前に対策を打つ必要があります。お金が完全になくなってからでは、金融機関も支援の手を差し伸べることが極めて困難になります。

2. 資金不足が予見されたら真っ先に向かうべき早期の相談先

資金ショートの可能性が数か月先に予測されたら、決して一人で悩まず、迅速に専門家に相談することが極めて重要です。創業1年目の会社が真っ先に連絡を取るべき相手は、自社の財務状況を把握している顧問税理士です。

税理士に相談することで、以下のような具体的な支援を受けられます。

  • 直近の試算表から資金繰りの予測を正確に再計算し、実際にいつお金が足りなくなるのかを可視化する。
  • 銀行に提出するための、信頼性の高い資金繰り計画表や事業改善計画書の作成支援を受ける。
  • 自社が活用できる可能性のあるセーフティネット保証や、地域の緊急融資制度がないかを洗い出す。

税理士への相談と並行して、すでに融資を受けている場合は日本政策金融公庫や取引のある民間銀行の担当窓口に「事前の状況報告」としてアプローチを始めます。資金調達や支払交渉には一定の時間がかかるため、手元資金に余力がある3か月前の段階で相談を開始することが防衛のための必須手順です。

3. 融資相談や返済猶予の交渉を有利に進める金融機関への伝え方

資金不足を補うために、金融機関に対して追加の融資を申し込む、または既存の借入金の返済負担を一時的に減らす交渉(リスケジュール)を行う場合、伝え方には細心の注意が必要です。「お金が足りないので助けてください」という泣きつきの姿勢では、審査に通りにくくなります。

金融機関に対しては、客観的な事実に基づいた資料を用意し、以下の項目を整理して誠実に説明します。

  • 一時的な資金不足の原因:急激な売上拡大に伴う仕入れの先行や、大口顧客の支払い遅延など、一時的かつ明確な理由であることを示します。
  • 具体的な改善策と回復時期:新規契約の見込みや、不要な経費の削減、役員報酬の自主返上など、手元の資金を増やすための具体的な行動計画を提示します。
  • 返済計画の現実性:今後作成する資金繰り予定表を提示し、〇か月後には資金繰りが回復し、期日通りに返済が行えることを証明します。

試算表の提出を求められた場合は、速やかに最新の数字を提出します。もし数字に不安がある場合は税理士に相談し、適切な数字の解説を添えて報告することで、金融機関側も前向きな支援の検討を行いやすくなります。

4. 手元資金を1日でも長く残すための支払いの優先順位と判断基準

資金繰りが逼迫した局面では、限られた手元資金をどの支払いに充てるべきか、明確な基準に沿って決定する必要があります。支払いの遅延は会社の信用失墜に直結するため、慎重な判断が必要です。

基本となる支払いの優先順位は、以下の通りに整理されます。

  • 主要な仕入先・外注先への支払い:事業継続に直接関わる取引先への支払いを最優先します。ここが滞るとサービス提供がストップし、売上回復の道が絶たれます。
  • 税金・社会保険料の支払い:税金や社会保険料は滞納すると財産の差し押さえなどの強力な処分が下されます。ただし、事前に税務署や年金事務所に相談することで、法的な手続き(猶予申請など)を申請して分割支払いを認めてもらえる制度が存在します。
  • 役員報酬の支払い:社長自身の給料である役員報酬の支払いを一時的にストップし、会社に資金を残します。なお、期中での役員報酬の変更や減額を行う場合は、税務上の手続き(国税庁)が必要になるため、あらかじめ税理士に確認を行ってください。

まずは税理士に状況を相談した上で、仕入先に対して「支払期日の延長」をお願いするなど、事業活動を維持するための交渉を進めます。

5. 今日やること

  • 直近3か月分の月々の固定費の合計額を算出し、現在の口座残高がその金額を上回っているか確認する。
  • 顧問税理士に対して、現在の資金繰り計画に問題がないか、一度試算表をもとに確認を依頼する。
  • 役員報酬の一時的な減額や支払猶予を検討する場合の税務上のルールについて、税理士に確認しておく。

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