資金繰りと融資・約6分
3か月先のお金が見える資金繰り表
公開・あさひ国際会計株式会社

先に結論
売上があっても、支払日にお金が足りないことがあります。毎月の入金と支払を並べ、3か月先までの残高を確認します。
1. 最初に見るのは、利益より支払日の残高です
創業したばかりの会社では、売上が増えていても口座のお金が減ることがあります。納品から入金までに時間がかかり、その間に仕入代金や家賃を払うためです。資金繰り表は、この入金と支払のズレを見つけるために作ります。
例えば、4月に売上が発生しても、契約が翌月末払いなら入金は5月です。4月中に払う外注費は、その入金を待ってくれません。損益計算書では売上になっていても、支払日に使えるお金とは別に考えます。
創業1年目は、まず今月と翌月、翌々月の3か月分を作りましょう。精密な年間計画を完成させるより、近い支払に間に合うかを見ることから始めます。
- 売上は、仕事をした月ではなく入金予定の月に置きます。
- 経費は、請求書を受け取った月ではなく支払予定の月に置きます。
- 借入金の返済や設備購入も、お金が出る月に入れます。
2. 口座残高と請求書を集めて、表の枠を作ります
月初の残高から始めるなら、前月末の通帳やネットバンキングを確認します。法人の口座が複数ある場合は合計し、事業で使う手元現金も加えます。会社の口座同士の振替は、会社全体のお金を増減させないので、入金や支払に重ねて数えません。
表計算ソフトに、横方向は3か月、縦方向は残高と入出金を並べます。最初から会計ソフトの勘定科目に合わせる必要はありません。自分が支払内容を説明できる程度にまとめれば十分です。
- 月初残高
- 入金予定の合計
- 支払予定の合計
- 月末残高
計算は、月初残高+入金予定-支払予定=月末残高です。今月の月末残高を、翌月の月初残高に引き継ぎます。
月の途中から作る場合は、今日の残高と、今日以降の入出金だけを使います。今日の残高から、すでに支払った今月分の家賃をもう一度引かないようにしてください。まず作成日を表の上に書くと、集計の範囲を間違えにくくなります。
3. 入金は取引先ごと、支払は種類ごとに置きます
入金欄は、取引先ごとに分けます。請求済みの売上は、請求書と契約上の支払条件から予定日を確認します。まだ請求していない仕事も、納品予定日、締日、支払日をたどって入金月を決めます。
商談中の案件は、受注済みの案件と分けてください。「受注できたら入るお金」を支払の前提にすると、予定が外れたときの不足を見落とします。見込み案件を除いた残高も確認できるようにします。
支払欄は、毎月出るものから埋めると進めやすくなります。次に、仕入れなど売上に連動する支払、年払いなどの臨時支払を加えます。
- 毎月の支払には、家賃、役員報酬、給与、通信費などを入れます。
- 取引に伴う支払には、仕入代金、外注費、配送費などを入れます。
- 忘れやすい支払には、社会保険料、税金、借入返済、年払いの利用料などがあります。
給与や役員報酬は、本人への振込額と、別途納める源泉所得税・社会保険料に分けると、実際の出金に合わせやすくなります。額面給与を支払欄に入れたうえで本人負担分を再度足すと、二重計上になります。分け方は税理士に確認してください。
借入金は入金、元本返済は支払に入れます。会計上の売上や経費に当たらなくても、口座残高には影響するからです。
4. 残高が減る月は、月内の順番まで確認します
月末残高がプラスでも、月の途中で支払えなくなる場合があります。月末にまとまった入金があり、その前に給与や仕入代金の支払が集中しているケースです。
残高が大きく減る月だけは、日付順に並べ直しましょう。月次の表を入口にして、気になる月を週単位や日単位に細かくします。すべての月を細かく管理する必要はありません。
- 入金予定日より前に、どの支払が来るか確認します。
- 大口の入金が翌月にずれた場合の残高も計算します。
- 未計上の税金や年払い費用がないか見直します。
不足が見えたら、まず請求漏れと入金遅れを確認します。次に、まだ契約していない設備購入や広告出稿を延期できるか検討します。取引先との支払条件を変える場合は、支払日前に相談し、合意した内容を残します。
借入が必要そうなら、資金繰り表と不足の理由を用意して早めに金融機関へ相談します。申込みから実行までの期間は案件によって異なり、融資の可否は金融機関が判断します。入金が決まるまでは、調達予定と確定済みの入金を分けて管理します。
5. 月初に更新し、予定と実績のズレを直します
資金繰り表は、一度作って終わりではありません。月初に前月の予定を実際の入出金に置き換え、3か月先まで見えるように新しい月を追加します。大きな契約や支払が決まったときも更新します。
残高が合わないときは、会社の口座間振替、カード引落し、社長の立替精算を確認してください。カードで購入した日と、口座から引き落とされる日は異なります。
- 前月末残高を、通帳の実際の残高と照合します。
- 入金延期や支払額の変更を、残りの月に反映します。
- 残高が最も少なくなる時期と、その理由を一言で残します。
税理士には表を渡し、税金の支払時期や不足している項目を確認してもらいます。一方、取引先への請求予定や設備購入の判断は、代表が把握している情報です。数字の整理を任せても、予定を伝える役割は手元に残しましょう。
6. 今日やること
完成度より、現在の残高と直近の支払をつなぐことを優先します。まず次の3つを進めてください。
- 法人口座と事業用現金の残高を確認し、確認日と金額を書きます。
- 今月から3か月分の入金・支払予定を並べ、月末残高を計算します。
- 残高が最も少ない月の日付を確認し、請求・支出見直し・相談の順に対応を決めます。