資金繰りと融資・約6分
設備を買う前に、購入とリースを比べよう
公開・あさひ国際会計株式会社

先に結論
設備の購入とリースは、初期費用・総支払額・解約条件を並べて比べます。創業期の手元資金と使う期間から、選び方を整理します。
1. 見積もりを頼む前に、使う期間を決める
設備は、月々の支払額だけで選ばず、使う期間と支払総額をそろえて比べます。登記したばかりの会社では、半年後に必要な台数や性能が変わることもあります。今の仕事に合っていても、移転や事業の変更で使わなくなる可能性まで考えておきます。
最初に決めたいのは「何を買うか」より「どの仕事に、いつから、どれくらい使うか」です。パソコンなら担当業務と必要な性能、複合機なら月の印刷量、製造機械なら受注量と設置場所を書き出します。営業担当者には、その条件を渡して見積もりを依頼しましょう。
- 使用開始日と、使い続ける見込みの期間
- 現在必要な台数・性能と、増やす可能性
- 移転・撤退・買い替えが起きそうな時期
半年ほど試してから判断したい設備なら、短期レンタルや中古購入も候補に入ります。価格を比べる前に、長く使う前提が成り立つかを確かめてください。
2. 初期費用は、稼働する日までのお金で比べる
購入の見積書に書かれた本体価格だけでは、使い始めるまでに必要なお金が分かりません。配送、設置、電源工事、初期設定などが別料金になっていることがあります。見積書を受け取ったら「この金額で業務を始められますか」と確認します。
リースも、初期費用が少ないという説明だけで決めないようにします。設置費や保証金などが別途必要か、最初の引落しがいつかを聞いてください。支払いと売上の入金が重なる時期によって、口座に残るお金は変わります。
比較用のメモには、購入とリースのそれぞれについて、次を同じ順で記入します。
- 契約時から稼働日までに支払う金額
- 稼働後に毎月支払う金額
- 別途支払う設置費・設定費・保証金
- 各費用の支払日と、税込・税抜の区分
導入後に、給与・家賃・仕入れを払えるお金が残るかを先に見ます。一括購入で支払総額が下がっても、次の入金までの余裕がなくなるなら、購入時期や機種を見直す余地があります。
借入で購入する案も比べる場合は、購入代金に加え、利息と手数料を確認します。月々の返済額だけをリース料と並べると、返済期間の違いを見落とします。融資の可否は金融機関が判断するため、融資を前提に契約するなら、資金調達が整わなかった場合の扱いも確認しておきます。
3. 総支払額には、保守と終了時の費用も入れる
次は、使う予定の期間全体でいくら払うかを計算します。購入なら本体代と導入費に、保守、修理、消耗品、処分費を加えます。売却を見込む場合も、買い取り額が未定なら、そのお金を当てにしない金額を先に出しておくと判断しやすくなります。
リースは、月額に支払回数を掛けた金額を出し、別料金を足します。リース料に保守費用が含まれているか、故障時の修理まで対象なのかを確認してください。購入側には保守を付け、リース側では外したまま比べると、安く見える理由が分からなくなります。
- 本体・導入費と、期間中の支払総額
- 保守・修理・消耗品の対象範囲と追加料金
- 満了後に使い続ける場合の料金
- 返却・撤去・処分にかかる費用
比べる期間とサービス範囲をそろえると、価格差の理由が見えてきます。購入品を長く使う案と、途中で新機種に替える案は、分けて計算しましょう。
節税の説明を受けても、経費になる時期と口座からお金が出る時期は分けて考えます。購入代金をその年に全額経費にできるか、リース料をどう処理するかは、設備や契約によって扱いが変わります。見積書と契約案を税理士に渡して確認してください。
4. 使わなくなったら、支払いは止められる?
毎月払う契約でも、不要になった月に支払いを止められるとは限りません。設備代金などを契約期間で回収する仕組みのリースは、中途解約を原則として認めない条件が一般的です。契約できる期間だけでなく、途中でやめる条件を先に読みます。
「解約可能」と書かれていても、残りの支払いに相当する金額などをまとめて求められる場合があります。担当者には「導入から半年で事業をやめた場合、何をいくら払いますか」と具体的な場面を伝え、契約案の該当箇所と一緒に回答をもらいます。
- 中途解約の可否と、精算額の計算方法
- 移転・設置場所変更・機種変更の条件
- 故障や盗難が起きたときの支払いと補償
- 契約満了時の返却・継続利用・買い取りの扱い
契約終了後に自社のものになると思い込まないようにしてください。将来買い取りができる契約か、原則返却かを契約前に確かめます。長期契約の途中で買い替える可能性が高い設備ほど、この確認に時間を使います。
5. 差額を払ってでも、手元に残したいお金はあるか
比較ができたら、事業が予定どおり進む場合と、売上が伸びず設備が余る場合を考えます。創業直後は、使う量がまだ読めない設備もあります。高性能な機種を長期契約で押さえるより、小さく始めて使用量が見えてから増やす方が、支出を抑えやすい場面もあります。
購入で手元資金が減る一方、リースで総支払額が増えるなら、その差額で資金の余裕を保つ価値があるかを判断します。残したお金を仕入れに使う予定があるのか、入金の遅れに備えたいのかまで言葉にすると、月額の印象に引っ張られにくくなります。
- 長く使えて、購入後も資金に余裕があるなら購入を検討する
- 初期支出を抑えたいなら、総額と解約条件を確認してリースを検討する
- 使用量や継続期間が読めないなら、レンタルや導入延期も比べる
解約条件が事業の見通しに合わないなら、月額が払えても立ち止まります。 今月払えるかに加えて、仕事が変わった後も負担できるかを見て決めてください。
6. 今日やること
導入したい設備を一つ選び、購入とリースの条件を同じ紙に並べます。空欄が残る項目は、契約前に販売店やリース会社へ確認しましょう。
- 使う仕事・開始日・使用期間・必要な台数を書き出す
- 同じ機種と保守範囲で、初期費用・総支払額・解約条件を取り寄せる
- 導入後の預金残高を確認し、見積書と契約案を税理士に渡す