本文へ進む
創業GO!
ログイン

経営の数字・約6

セット販売、単品よりいくら利益が増える?

公開・あさひ国際会計株式会社

先に結論

セットが売れても、単品販売より利益が減る場合があります。値引き・原価・追加費用を並べ、販売前に比べる手順をまとめます。

1. 比べる相手は「単品一つ」と「単品の合計」

セット販売を始める前に、何と比べて利益が増えるのかを決めましょう。単品一つを買う予定のお客さんがセットを選ぶ場合と、両方を買う予定だった人がセット割引を使う場合では、利益の増減が逆になることがあります。

創業1年目は、注文が増えるとうれしくて、売上だけで手応えを判断しがちです。ところが、まとめ買いの値引きに梱包や対応の負担が重なると、忙しさほどお金が残りません。

まず、組み合わせたい商品を二つ選び、直近の注文を見返してください。サービス業なら、制作と保守、訪問作業と追加点検などに置き換えて考えます。

  • 主力商品だけを買った注文
  • 二つの商品を通常価格で買った注文
  • 関連商品を提案したものの、追加購入されなかった注文

両方を通常価格で買うお客さんが多ければ、セット化で値引きだけが増えるおそれがあります。一方、追加の商品を知らずに購入を終えている人が多いなら、組み合わせを見せる余地があります。

2. 値引き後の価格から、注文ごとの費用を引く

比較する数字は、一件売るたびに残る金額です。ここでは、販売価格から、その注文に伴って発生する費用を引いて計算します。家賃や毎月の役員報酬まで引いた会社全体の利益とは区別してください。

以下は計算方法を示すための仮の数字で、価格や原価の相場ではありません。消費税を含むかどうかは、比較する数字でそろえます。

  • 商品A:販売価格5,000円、原価2,000円、残る金額3,000円
  • 商品B:販売価格2,000円、原価800円、残る金額1,200円
  • セット:販売価格6,500円、原価合計2,800円、追加費用200円、残る金額3,500円

説明を簡単にするため、この例では記載した費用以外は発生しないものとします。実際の比較では、決済手数料や会社負担の送料も加えてください。

通常価格の合計7,000円から500円値引きし、さらにセット用の追加費用が200円かかっています。Aだけの注文と比べれば、残る金額は500円増えます。しかし、AとBを通常価格で買う注文なら4,200円残るため、セットにすると700円減ります。

セット価格が単品より高くても、利益が増えるとは限りません。 「Aだけならいくら」「両方を通常価格で売ったらいくら」を横に並べて比較すると、判断を誤りにくくなります。

3. 追加費用は、試しに一件作って拾う

販売画面を公開する前に、実際の注文と同じ流れで一件準備してみましょう。商品を箱に詰めると、予定の箱に入らない、重さで送料が変わるといった費用が見つかります。サービスなら、申込みから提供終了までの作業を書き出します。

確認したいのは、組み合わせたために増える費用と、まとめたために減る費用です。

  • 専用箱、緩衝材、同封物などの資材費
  • 荷物の大きさや重さで変わる送料
  • 販売価格に応じた決済手数料
  • 組立て、設定、説明などの外注費
  • 一回の発送や訪問にまとめて減らせる費用

普段から単品販売で払っている費用を、セット側だけに加えると比較がずれます。両方に同じ費用項目を置き、差額が見えるようにしてください。

社長自身が追加作業をする場合は、まず所要時間を別欄に記録します。自分が動けば支払いは増えなくても、ほかの受注に使える時間は減ります。金額に換算するなら、すでに費用に含めた人件費を重ねて引かないようにします。

4. いくらまで値引きしてよい?

先ほどの例で、Aだけの注文より一件あたり500円多く残したいなら、セット価格は6,500円必要です。原価2,800円、追加費用200円、Aの利益3,000円、増やしたい利益500円を足した金額です。

通常価格の合計は7,000円なので、この条件での値引き幅は500円までになります。先に「セットは一割引き」と決めるより、残したい金額から逆算したほうが、販売後の修正を減らせます。

  • 一件あたり、単品よりいくら多く残したいか
  • 追加の作業に何分まで使えるか
  • 通常価格で両方買う注文が、どれくらいありそうか

この三点を、売り出す前の判断メモに残しましょう。単品の組み合わせで頻繁に売れているなら、値引きを付けず、選びやすさや注文の手間を減らすセットも考えられます。

値引きの余地がないときに、無理に価格を下げる必要はありません。箱を変える、内容を減らす、追加作業の範囲を絞るなど、費用側から組み直します。

5. 少数の注文で、合計の利益と時間を確かめる

最初は販売期間や受付数を区切り、通常の注文と並べて記録します。セットの注文数だけで判断すると、通常価格の注文が移った影響を見落とします。

たとえば、例のセットが10件売れると、残る金額は35,000円です。その10件がすべてAだけの予定だったなら、比較対象は30,000円なので5,000円増えます。半分が両方を通常価格で買う予定だったなら、比較対象は36,000円となり、1,000円減る計算です。

実際には、買う前の予定までは分からない注文もあります。分からない分は、利益が増える場合と減る場合の両方で試算してください。

  • 単品とセット、それぞれの注文数
  • 注文ごとの売上と費用
  • 梱包や提供にかかった追加時間
  • 内容や価格について寄せられた質問

販売期間が終わったら、合計で残った金額と使った時間を確認します。通常の仕事を押してまで続ける価値があるか、価格か内容を直せば続けられるかを判断しましょう。

6. 今日やること

販売予定のセットを一つ選び、価格を出す前に比較のメモを作ってください。

  • 単品一つ、両方の通常購入、セット購入の三通りで、残る金額を計算する。
  • 一件分を試しに準備し、送料・資材・追加作業の費用と時間を確認する。
  • 残したい利益からセット価格を決め、試す期間と受付数をメモする。

次の一歩

事前登録すると開始時に案内が届き、資料56本が開けます。