届出と保険・約6分
社名や事業目的を変えるときの手順
公開・あさひ国際会計株式会社

先に結論
社名や事業目的を変えるには、社内の決定と変更登記が必要です。変更日の決め方から申請、取引先への連絡まで順に整理します。
1. 社名と事業目的は、定款と登記をセットで変える
登記されている社名や事業目的を変えるときは、会社の基本ルールを記した定款を変更し、法務局に変更登記を申請します。一人社長の会社でも、社内で決めた内容を書面に残す手続きが必要です。
まず、今の定款と、登記内容を確認する登記事項証明書を並べてください。「新しいサービスを始めるから目的を追加したい」と思っても、現在の目的に含まれる場合があります。反対に、サイトへ事業内容を書き足すだけでは、定款や登記は変わりません。
社名についても、会社の正式名称である「商号」と、お客さんに見せるサービス名は分けて考えます。サービスの名前を変えるだけなら、商号変更の登記が必要になるとは限りません。
- 正式な会社名を変えるのか、サービス名だけを変えるのかを整理します。
- 新事業の内容を、現在の定款の目的と照らし合わせます。
- 定款と登記事項証明書の内容が一致しているか確認します。
手元にある設立時の資料だけで判断せず、過去に変更していれば、その変更を反映した定款を使います。
2. 新しい名前と目的は、決議する前に確認する
社名の候補が決まったら、同じ本店所在地に同じ商号の会社がないか調べます。同一所在地・同一商号の登記は認められません(法務省)。似た名前との混同や商標の問題は別に残るため、登記できそうだという理由だけで看板や封筒を発注しないようにします。
目的の文言は、実際に売るものや提供するサービスが読み取れる形にします。「今後やるかもしれない事業」を大量に並べるより、今回始める事業と近い将来に着手する事業を整理すると、取引先にも説明しやすくなります。
許認可が関係する事業は、目的の文言を決議する前に申請先へ確認します。 必要な表現が足りないと、定款変更からやり直す場合があります。登記に目的を追加しても、それだけで許認可を得たことにはなりません。
- 社名の候補は、登記情報と商標の両方で調べます。
- 新事業は「誰に、何を提供するか」を短い文章にします。
- 許認可が必要なら、担当窓口に目的の文言と開始条件を確認します。
司法書士へ登記を依頼する場合も、この段階で相談すると、決議後の書類の作り直しを減らせます。
3. 変更日は、申請と名義変更が動ける日にする
次に、変更を有効にする日を決めます。株式会社では、商号や目的を記載した定款の変更には、原則として株主総会の特別決議が必要です。社長自身が全株式を持っていても、決定した内容を株主総会議事録などに残します。
合同会社では、定款に別段の定めがなければ、総社員の同意で定款を変更します。ここでいう社員は従業員ではなく、会社へ出資する構成員です。株式会社用の議事録をそのまま使わず、自社の会社形態に合う書類を準備してください。
通常の商号・目的変更では、設立時のように定款を公証人へ持ち込み、再度認証を受ける手続きは不要です。ただし、決議の方法や必要書類は自社の定款と照らして確認します。
- 変更後の商号や目的を、一字一句確定します。
- 決議日と、変更の効力が生じる日を確認します。
- 申請書類を用意する担当者と提出予定日を決めます。
変更登記は、原則として変更の効力が生じた日から2週間以内に、本店所在地を管轄する法務局へ申請します(法務省)。 登記が完了した日から数えるわけではありません。決議日と効力発生日を分ける場合は、書類の書き方を司法書士に確認します。
4. 法務局へ出す書類と費用を先にそろえる
申請には、変更登記申請書、登記すべき内容、社内で変更を決定したことを示す書類などを使います。株式会社の株主総会決議による変更では、通常、株主総会議事録に加えて株主リストも必要です。代理人へ依頼する場合は委任状も用意します。
自分で申請するなら、法務局が公開する商号変更・目的変更の記載例を、自社の会社形態に合わせて確認します。手元の別の会社の書類を写すと、決議方法や添付書類の違いを見落としがちです。
商号や目的の変更にかかる登録免許税は、通常、申請1件につき3万円です。同じ会社の商号と目的を一つの申請で変更する場合も、通常は合計3万円です(法務省)。司法書士の報酬や証明書の取得費用は別に見積もります。他の変更もまとめて申請する場合は、税額を司法書士や法務局に確認してください。
- 申請書と決議書類で、新しい名称・目的・変更日を照合します。
- 登録免許税の納付方法と、申請先を確認します。
- 提出後に補正の連絡が来たときの対応時間を確保します。
登記完了後は登記事項証明書を取得し、申請した内容が反映されているか確認します。
5. 社名が変わるなら、銀行と請求先も同時に動かす
商号変更で困りやすいのが、請求書の社名と振込先口座の名義が食い違う期間です。銀行の名義変更には登記完了後の証明書などを求められるため、変更前に必要書類と所要日数を聞いておきます。
社名が変わっても同じ法人が続きます。既存契約については、名称変更の通知条項や、相手先指定の届出書があるかを確認します。請求書だけ新社名へ差し替えると、経理担当者が支払いを保留することもあります。
- 銀行と決済サービスへ、名義変更の手順を確認します。
- 取引先へ、変更日、新旧社名、振込先の扱いを連絡します。
- 請求書、見積書、サイト、メール署名の切替日をそろえます。
- 税務署、自治体、社会保険や許認可の窓口への届出を確認します。
税務関係の異動届やインボイス登録情報の変更要否は、税理士に確認してください。目的だけの変更でも、許認可先などへの届出が必要な場合があります。
6. 今日やること
最初に、現在の定款と変更したい内容を並べてください。それらをもとに確認先へ連絡すると、変更日と申請準備を具体化できます。
- 定款と登記事項証明書を開き、変更したい箇所を書き出します。
- 新しい商号や目的の案を作り、司法書士や許認可の担当窓口へ確認します。
- 変更希望日、登記申請予定日、銀行・取引先への連絡予定日をカレンダーに入れます。