税金と消費税・約6分
社員の昼食代、会社で出す前に確認しよう
公開・あさひ国際会計株式会社

先に結論
昼食代は、支給方法と社員の負担額によって給与課税が変わります。制度を始める前に、税理士へ確認する内容と毎月の記録を整理します。
1. 昼食代は、払い方を決める前に税理士へ
社員の昼食代を会社が出すなら、金額を約束する前に給与課税を確認します。会社が弁当を用意する場合と、給与に昼食手当を上乗せする場合では、扱いが違うためです。
創業して初めて社員を迎えると、「お昼くらい会社で出そう」と、その日の判断で払い始めることがあります。ところが、食事代として出したお金も、社員への給与として所得税の計算に含める場合があります。福利厚生費という名前で帳簿に入れても、それだけで扱いは決まりません。
先に社員へ「毎日無料」と伝えると、後から本人負担や税金の説明が必要になります。募集要項や雇用条件に書く前に、次の内容を一枚にまとめ、税理士へ渡してください。
- 誰を対象にして、いつから始めたいか
- 弁当などの食事を渡すか、現金を支給するか
- 社員一人あたり、会社が月にいくら負担したいか
- 本人から代金をどのように集めるか
税理士が未定なら、まずこの案を持って相談してください。会社負担額だけを尋ねるより、支給方法まで見せた方が話が進みます。
2. 食事を出すなら、本人負担と月額の両方を見る
会社が役員や社員に食事を支給する場合、給与として課税しないための一般的な条件があります。本人が食事の価額の半分以上を負担し、会社負担分が月額の非課税限度額以下であることです。どちらか一方を満たすだけでは足りません(国税庁)。
弁当を購入して渡す方法なら、購入代金を基に食事の価額を確認します。本人がいくら払ったかだけでなく、会社が実際にいくら負担したかも、一人ずつ月単位で集計する準備が必要です。
非課税限度額には改正があり得るため、過去の記事や他社の制度をそのまま使わず、支給開始月に適用される額を税理士に確認してください。限度額の判定では消費税等を除く扱いもあるため、税込みの請求額だけで判断しないようにします(国税庁)。
確認時には、次の点も聞いておきます。
- 購入する食事の価額を、どの金額で計算するか
- 本人負担額と会社負担額を、毎月どう集計するか
- 食事の価格や利用回数が変わった月をどう扱うか
条件を満たさない場合は、原則として食事の価額から本人負担額を差し引いた額が給与課税の対象です。限度額を超えた部分だけが課税されるとは限りません(国税庁)。会社が負担した全額を判定できる資料を残します。
3. 現金の昼食手当は、食事の支給と分けて考える
給与と一緒に昼食手当を振り込む方法は、運営の手間を抑えやすい一方、原則として給与課税の対象です。通常の昼食代を現金で補助する場合、食事の現物支給と同じ非課税の扱いにはなりません(国税庁)。
「領収書を出してもらえば非課税になる」とも判断できません。社員が自分で食べた昼食代を後から精算する案も、具体的な流れを税理士に見せます。
少人数の会社なら、注文や代金回収にかかる時間まで含めて選んで構いません。課税される手当として運用する方法もあります。ただし、支給額がそのまま手取りの増加額になるとは限らないため、社員への説明をそろえます。
- 現金手当なら、給与計算に含める項目を確認する
- 弁当の支給なら、注文と本人負担の回収方法を決める
- 食事券やアプリなら、その仕組みでの税務上の扱いを確認する
サービスの広告に「福利厚生」と書かれていても、自社の使い方まで非課税になると決めつけないでください。利用規約や支払明細の見本も相談資料になります。
4. 始める前に、欠勤日と代金回収のルールを決める
税務上の扱いが分かったら、初回の注文前に社員へ運用を伝えます。最初は対象者が一人でも、出社日と在宅勤務日、欠勤日が混ざると、注文数と本人負担額がずれやすくなります。
規程を長く作るより、毎月迷いそうな場面を先に決めます。無料提供を約束してから本人負担へ変更すると、社員の受け止め方も変わるため、説明は利用開始前に済ませてください。
- 対象になる勤務日と、注文を取り消せる時刻
- 食事一回あたりの本人負担額と回収日
- 注文後に欠勤した場合の費用の扱い
- 価格変更や制度見直しを知らせる方法
給与から本人負担分を引く場合は、税務とは別に、賃金控除に必要な労使協定などの手続きを社労士へ確認します。本人が口頭で了承したからといって、そのまま控除を始めないようにしてください。
また、通常の昼食と、残業時などに提供する食事では取扱いが異なる場合があります。記録を混ぜず、例外に当たるかは税理士に確認します。
5. 月末は請求書と社員別の利用記録を合わせる
運用を始めた月は、給与計算を締める前に一度点検します。弁当業者の請求書だけでは、誰が何食利用し、いくら負担したか分からないためです。
社員別に、利用日、食数、食事の価額、本人負担額、会社負担額を一つの表に記録します。本人負担を集めたら回収日も入れ、請求書と照合してください。月末にまとめて思い出すより、注文時に記録する方が抜けを減らせます。
- 注文数と実際に利用した食数が合っているか
- 決めた本人負担額を回収できているか
- 確認済みの限度額と本人負担割合に収まっているか
未回収や集計漏れが見つかったら、給与計算担当者と税理士へ伝えます。後から回収すれば扱いが変わるかも含め、自分だけで処理を決めないようにします。
初月の記録を税理士に見てもらい、翌月から同じ手順で回せる状態にするところまでを、制度の準備に含めてください。
6. 今日やること
社員へ金額を約束する前に、支給案を一枚作ります。その案と記録表の見本を使って、税理士との確認を進めてください。
- 食事の支給か現金手当かを仮決めし、対象者と開始予定月を書く
- 本人負担額と会社の予算を添えて、給与課税と適用される限度額を税理士に確認する
- 社員別の食数、本人負担額、回収日を記録する表を用意する