売上をつくる・約6分
展示会に出るなら、申込前に何を決める?
公開・あさひ国際会計株式会社

先に結論
展示会は、名刺の枚数より次の商談につながるかで判断します。申込前に商談目標、総費用、当日の分担、会期後の連絡を決めましょう。
1. 出会いたい相手が来る展示会を選ぶ
展示会への申込前に決めるのは、会いたい相手と、その相手に提案する仕事です。創業したばかりなら「会社を知ってもらう」だけでは、出展料に見合ったかを振り返れません。売りたい商品やサービスを一つに絞り、誰のどんな困りごとを聞く場にするかを書き出します。
候補が見つかったら、主催者の出展案内で来場者の業種や部署、来場目的を確認します。来場者数が多くても、購入を検討する人より情報収集の人が中心なら、その場で具体的な商談に進むとは限りません。
- 話したい相手の業種、会社規模、担当業務を決める
- 提案する商品と、相手に聞きたい困りごとを絞る
- 過去の来場者の傾向を主催者に確認する
まだ誰に売れるかを探している段階なら、先に来場者として見学する選択もあります。似た商品がどんな言葉で説明され、どんな人が足を止めているかを見るだけでも、出展内容を考える材料になります。申込締切が近いという理由だけで決めず、通常の営業より会いたい相手に会えそうかを比べてください。
2. 名刺の枚数より、次の約束を目標にする
出展の成果は、会期後に進める商談の数で考えます。名刺を受け取っても、相手の課題や連絡する理由が分からなければ、お礼メールを送って終わりがちです。
たとえば受託サービスなら、「困りごとと検討時期を聞き、個別相談の日程を決めた状態」を目標にします。商品販売なら、サンプルを送った後の確認日や、見積もりに必要な条件を聞く約束でも構いません。自社の販売手順に合う到達点を一つ決めます。
- 会場で確認することを、課題、導入時期、購入の決め方に絞る
- 次の約束を、個別相談、実演、見積もりなどから決める
- 会期後の予定表に、対応できる商談枠を先に確保する
目標件数は、後から対応できる量と当日の接客時間から設定します。一人で出るなら、説明中に別の来場者が通り過ぎることもあります。開催時間いっぱいに休みなく話せる前提は避け、設営や休憩も含めて考えましょう。
受注率の記録がない創業直後は、商談が何割受注になるかを当て込まず、今回の出展でその数字を確かめます。目標と一緒に、何を学べたら次回の判断に使えるかも残してください。
3. 出展料に、準備と追客の費用を足す
予算を組むときは、申込から会期後の商談までにかかる総費用を出します。小間代が予算内でも、装飾や運搬、交通費が重なると、想定を超えることがあります。
主催者の見積もりでは、備品や電源が料金に含まれるか、追加料金がいつ決まるかを確認します。申込後の取消条件と支払日も、この段階で確認しておきます。売上が入る前に、いつ、いくら出ていくのかを資金繰り表へ反映してください。
- 出展料、装飾、備品、電源などの会場費を並べる
- 印刷、サンプル、運搬、交通、宿泊の費用を加える
- 応援スタッフや、会期後の訪問・発送の費用を加える
- 準備、当日、追客に使う社内の作業時間を見積もる
社長自身の作業時間も記録します。現金の支出とは分けつつ、その間に納品や通常の営業が遅れないかを確認するためです。
採算は、売上額だけで比べると見誤ります。受注しても仕入れや外注費がかかる仕事なら、それらを引いて残る額と出展費用を比べます。「総費用を回収するには何件の受注が必要か」を計算し、商談目標から見て無理がないかを検討しましょう。継続契約も、まだ決まっていない更新分まで足すと判断が甘くなります。
4. 一人で出るなら、接客が途切れる時間に備える
当日の分担は、申込前に人手を確保できるかまで確認します。従業員や知人に頼む場合も、仕事を説明する人、来場者を受け付ける人、商談内容を記録する人を決めておくと、会場で指示を出す負担が減ります。
一人で出展する場合は、長い相談を受けている間の対応が課題になります。その場で詳しく話す範囲を決め、時間がかかる相談は後日の予約につなぎます。離席中に見てもらう案内には、誰向けの商品かと、相談予約の方法を短く載せましょう。
- 設営、受付、商品説明、記録、撤収の担当を決める
- 説明を短く終える場合と、相談を続ける場合の目安を決める
- 休憩中の案内と、予約を受け付ける方法を用意する
記録用のシートには、相手の課題、検討時期、約束した対応、連絡日を入れます。名刺の枚数だけ数えても、帰社後に会話を思い出せません。接客の合間に書ける量へ絞り、出展前に商品説明から記録まで通して練習してください。
5. 会期後の連絡日まで決めてから申し込む
出展翌日から通常業務で予定が埋まっていると、せっかくの相談が止まります。追客の時間も出展日程に含めて確保します。 日程調整だけでなく、見積もりや資料の作成に使う時間も必要です。
連絡は、会場で約束した期限を優先します。具体的な相談を受けた相手には、困りごとの確認と次の対応を送ります。情報収集段階の相手には、希望された資料を届け、次に連絡してよい時期を聞きましょう。
- 約束した資料や見積もりの送付日を記録する
- 個別相談の日時と、自社の対応担当を決める
- その後の連絡を希望するか、相手に確認する
お礼メールには会場で話した内容を一文入れます。「業務の何に困っていて、こちらが何を送る約束だったか」が伝われば、相手も返信を判断しやすくなります。
会期後は、商談になった数、見積もりに進んだ数、受注した数を順に追います。普段の商談期間を踏まえて振り返る日を置き、未決着の案件をすぐ失敗扱いしないようにします。費用と作業時間も並べれば、次回は同じ展示会に出るか、別の営業に予算を回すかを考えられます。
6. 今日やること
申込画面を開く前に、次の内容を一枚に書いてください。埋まらない項目は、主催者への確認や社内の予定調整を先に進めます。
- 会いたい相手と、会期後につなげたい商談の形を書く
- 出展料以外の費用と支払日を並べ、予算の上限を決める
- 当日の担当を決め、会期後に連絡と商談をする時間を予定表に入れる