売上をつくる・約8分
見積・請求・回収の基本と遅延時の動き
公開・あさひ国際会計株式会社

先に結論
創業1年目に整えたい見積・請求書の項目、支払サイトの決め方、入金が遅れたときの初動を順に解説します。先に型を決めて回収の穴を減らします。
1. なぜ「受注の前」に型を決めるのか
一人社長や従業員0〜3人の会社では、受注・作業・請求が同じ人に集中します。作業が終わってから請求書の書き方を調べると、発行が遅れ、入金も後ろにずれます。設立後の数週間で、見積→発注・契約→納品→請求→入金の順と、それぞれの書類に何を書くかを決めておきましょう。
目安の順番は次のとおりです。
- 設立〜1か月:見積書・請求書のテンプレートを用意する(会計ソフトや請求ソフトでも可)
- 初受注の前:支払サイト(締め日と支払日)の自社標準を決める
- 受注時:口約束で始めず、金額・範囲・納期・支払条件をメールか発注書で残す
- 納品直後:請求書を出す日をカレンダーに固定する(例:月末締めの翌営業日)
「大きな仕事が来てから考える」より、小さな案件のうちに型を通した方が、後の修正が少なくて済みます。
2. 支払サイトの決め方
支払サイトは、取引先の規定に合わせる場合と、自社の標準を先に出す場合があります。創業1年目はキャッシュが薄いことが多いので、自社の希望を先に書き、相手の書式に合わせるかどうかを都度判断します。
自社標準の例(目安)は次のような書き方です。
- 月末締め・翌月末払い
- 月末締め・翌々月末払い(相手の規定が長いときに検討)
- 納品後○日以内(単発の制作・コンサルで使うことがある)
長いサイトを受け入れるときは、その案件で先に出ていく外注費・仕入がないかを見てください。先に外注を払う契約なら、着手金や中間金を見積段階で入れるかを検討します。官公庁・大企業はサイトが固定されていることが多いので、受注前に「検収後いくらで支払いか」を確認します。
3. 見積書と請求書に入れる項目
見積書と請求書で共通して入れておきたい項目です。
- 発行日・見積番号または請求番号
- 自社名、住所、連絡先、代表者名
- 相手の会社名(担当部署名まで)
- 品目・作業内容、数量、単価、金額
- 消費税の扱い(税率ごとの合計、税込・税抜の別)
- 有効期限(見積)、支払期限と振込先(請求)
- インボイス登録をしている場合は登録番号とインボイスに必要な記載
請求書だけ追加で確認する項目です。
- 請求対象の期間、または納品日・検収日
- 前回請求との精算や前受との相殺がある場合はその旨
- 振込手数料をどちらが負担するか(「振込手数料は貴社負担」など)
金額の内訳が「一式」だけだと、後から範囲の食い違いが起きやすいです。作業工程や成果物の単位に分けて書くと、追加作業の見積も出しやすくなります。 rubricsや仕様が長い場合は、見積に「別紙仕様書のとおり」と書き、別紙を添付してください。
4. 請求から入金までの社内ルール
少人数でも、次を決めておくと漏れが減ります。
- 誰が請求書を発行するか(社長本人か、経理を頼む人か)
- 発行したら請求一覧(日付・相手・金額・期限・入金日)に1行足す
- 入金予定の3営業日前に、入金の有無を通帳や明細で確認する
- 入金されたら請求一覧に消込日を書く
- 領収書を求められたときの出し方(メール送付か、電子の控えか)
会計ソフトに請求機能があるなら、発行と売掛の管理を同じ場所で行うと二度手間が減ります。ソフトを使わない場合でも、表計算1枚で「未入金だけ絞り込める」状態にしてください。月末にまとめて思い出す方式だと、創業1年目は他の手続きに埋もれて遅れがちです。
5. 入金が遅れたときの動き
支払期限の翌日に、次の順で動くと感情的なやり取りになりにくいです。
- 期限翌日:メールで「○月○日請求分(請求番号○)の着金が確認できていない」旨を短く送る
- 数日待ってもない:電話で着金予定日を聞く(担当者と経理のどちらに聞くかも確認)
- 予定日を過ぎる:再度メールで、支払予定日の回答を期限付きで依頼する
- 内容に争いがあると言われた:どの明細が対象か、先方の検収状況を文書で整理する
最初から強い文言を使わず、事実(請求日・金額・期限・未着金)だけを書きます。継続取引なら、次の納品前に前回分の入金を確認するルールにしてもよいです。金額が大きい、または連絡が途切れる場合は、契約書・発注書・納品記録の有無を先に揃え、顧問の税理士や専門家に相談する段階かを判断してください。内容証明や法的手続きの具体的な進め方は、状況がはっきりしてから専門家に確認します。
防止側の打ち手もあわせて持っておきましょう。
- 初回取引は前払いまたは着手金を見積に入れる
- 与信が読めない相手は、サイトを短くする
- 検収の定義(何をもって完了か)を発注時に一文入れる
6. 今日やること
- 自社の標準支払サイト(締め日・支払日)を一文で書き、見積テンプレートに貼る
- 請求書の必須項目チェックリストを作り、今のひな型と見比べて不足を埋める
- 未入金を書き出す表(相手・金額・期限・最終連絡日)を1枚用意する