売上をつくる・約6分
初めての苦情、返事の前に何を確認する?
公開・あさひ国際会計株式会社

先に結論
苦情が届いたら、注文内容と起きたことを照合します。一次回答から対応案の提示まで、返事の順番を整理します。
苦情が届いたら、注文内容と相手が困っていることを確認し、詳しい回答をいつ返すか伝えます。焦って返金や無償のやり直しを約束すると、事情が分かった後に約束を変えることになり、話がこじれます。
創業直後は、営業した社長自身が苦情も受ける場面が多いものです。「説明したはずだ」と感じても、その反論はひとまず置きます。手元の記録を確認しながら、事実確認、一次回答、対応案の順で進めてください。
1. まず、何が起きて何に困っているかを分ける
最初に読むのは、相手の言葉の強さよりも具体的な内容です。「話が違う」というメールなら、納期なのか、商品の仕様なのか、請求額なのかを切り分けます。同じ納期遅れでも、翌日の催事で使う品と、予備として注文した品では、急ぐ対応が変わります。
受け取った文章や写真を残したうえで、次をメモします。電話なら、終話後すぐに書き留めてください。
- 対象の注文、商品、作業はどれか
- いつ、どこで、何が起きたか
- 現在どのような支障が出ているか
- 相手は何を、いつまでに求めているか
足りない情報は、まとめて短く尋ねます。相手がすでに書いている内容を聞き直さないよう、送信前に読み返しましょう。原因が不明でも、けがや情報漏えい、被害の拡大につながりそうな内容なら、通常の確認より先に使用や公開の停止などを検討します。
2. 約束した内容を、メールと見積書で確かめる
次に、自社が何を引き受けたかを確認します。記憶だけで返事をすると、口頭で追加した条件や、担当者が送ったメールを見落としかねません。相手の申告、記録で確認できた事実、まだ分からないことを分けて残します。
見積書だけで終わらせず、受注前後のやり取りまでたどってください。口頭の説明が残っていなければ、「説明済み」と決めつけず、確認できない事項として扱うようにします。
- 見積書や注文書に記載した範囲、仕様、納期
- メールやチャットで合意した変更内容
- 納品したデータ、発送記録、作業の記録
- 返品、修正、追加料金について伝えた条件
従業員や外注先が関わっている場合は、「どうしてこうなったのか」と責める前に、作業した日時と内容を聞きます。原因の推測と実際の作業を分けると、確認が進みます。
自社の記録と相手の説明が食い違っても、この段階でどちらが正しいかを争う必要はありません。「納品日の認識が異なっている」など、食い違っている箇所を具体的にしておきます。
3. 一次回答では、次に返事をする日時を約束する
資料がそろうまで何も返さずにいると、相手は「読まれていないのか」と不安になります。苦情を確認した営業時間内に受領を伝える、調査に時間がかかるなら翌営業日に途中経過を返すなど、自社で続けられる目安を決めておきましょう。
一次回答に入れるのは、受け止めた内容と、これからの動きです。
- 連絡を受け取ったことと、相手の困りごとへのおわび
- 現時点で確認できたことと、調べていること
- 次に回答する日時と、窓口となる担当者
例えば、「ご連絡ありがとうございます。納品物を予定どおり使えず、お困りの状況を承知しました。ご不便をおかけし申し訳ありません。現在、ご注文内容と納品データを確認しています。明日の午後に、対応案または確認状況をご連絡します」と返します。
約束するのは、調査が終わる時刻よりも次の連絡時刻です。 外注先から返事が来ない可能性があるなら、その時刻までに解決すると言い切らないようにします。確認が続いていても、約束の時刻には分かったことと次の予定を伝えてください。
4. 対応案は、相手の期限と自社の負担を見て決める
事実がそろったら、相手が仕事を進められる案を考えます。納品物の一部が使えないなら、全部を作り直すより、使えない部分を先に直したほうが間に合う場合もあります。相手の希望を聞いたうえで、実行できる範囲を社内で確認します。
提案前には、次を押さえてください。
- どの部分を、どの状態まで直すか
- いつ着手し、いつ渡せるか
- 追加費用や返送費を誰が負担するか
- 相手に確認や返送をお願いする必要があるか
自社のミスが確認できたら、その箇所を具体的に認めておわびします。一方、注文後に増えた要望が混じっている場合は、元の注文への対応と追加作業を分けて説明します。「今回の修正は当社負担、追加の制作は別途見積もり」のように、境目を明らかにします。
一人社長でも、無料で対応する前に作業時間と現金の支出を計算してください。返金や値引きは一度伝えると相手の判断に影響します。その場を収めるための約束はせず、履行できる案を提示します。 損害賠償など判断の重い要求が出たら、即答を避け、契約内容と必要な専門家への相談を踏まえて回答します。
5. 合意した内容を残し、対応後に使えるか確かめる
電話でまとまった話も、短いメールで残します。「お電話で確認した内容です」と、対応範囲、費用、完了予定を送り、認識に違いがないか確認してください。後から別の要望が加わった際も、どこまで合意したかをたどれます。
修正版を送っただけで終わらせず、相手が確認する時期を見て、困りごとが解消したかを尋ねます。その後、自社の記録に次を追記します。
- 合意した対応と、実際に完了した日
- 対応にかかった作業時間と支出
- 次の受注から変える説明や確認項目
振り返りは「今後気をつける」で済ませず、「納期は発送日と到着予定日を分けて書く」など、次の仕事で使う文面や手順を一つ変えます。設立からの日が浅くても、受注のたびに確認を整えれば、同じ行き違いを減らせます。
6. 今日やること
苦情がまだ来ていなくても、連絡を受けたときの置き場所と返事の型は用意できます。まず、直近の注文一件を使って準備してください。
- 注文内容、変更のやり取り、納品記録を同じ場所から探せるようにします。
- 受領のお礼、確認中の事項、次の回答日時を入れた一次回答の下書きを作ります。
- 苦情の記録欄を作り、困りごと、確認済みの事実、合意した対応を分けて書けるようにします。