届出と保険・約6分
初めての従業員退職、書類と保険の手続き順
公開・あさひ国際会計株式会社

先に結論
退職日が決まったら、本人に渡す書類と会社が出す届出を分けて準備します。保険の手続きから離職票の受け渡しまで、順番を整理します。
1. 退職の申し出を受けたら、日付をそろえる
退職の申し出を受けたら、最初に退職日と最終出勤日を分けて記録します。有給休暇を使ってから退職する場合、最後に出社した日と雇用が終わる日は異なります。保険の手続きは、原則として退職日を基準に進めます。
退職届を受け取ったら、提出日と希望する退職日を確認し、コピーに受領印を押して渡すか、受理書を交付します。口頭の申し出なら、メールなどで内容を残しましょう。届を受け取っただけで処理を終えず、雇用契約や就業規則も確認して、次の事項を本人とすり合わせます。
- 退職日と最終出勤日
- 残っている有給休暇と取得予定
- 引き継ぐ仕事と貸与品の返却日
- 退職後の住所と連絡先
会社側が退職を促した場合や、契約期間の途中で辞める場合は、自己都合退職として一律に処理しないでください。経緯や契約内容で扱いが変わるため、判断に迷ったら社会保険労務士に確認します。
2. 退職前に、必要な書類と加入保険を調べる
退職日が決まった週に、給与台帳と入社時の届出を開き、その人が雇用保険、健康保険・厚生年金に加入しているか調べます。短時間勤務などで加入していない保険については、資格喪失の届出は不要です。
税理士に給与計算を頼んでいても、保険の届出まで依頼しているとは限りません。誰が作成し、誰が提出するかを退職前に決めます。保険手続きは社会保険労務士、税務書類は税理士と、担当を分けて確認すると抜けを防げます。
本人には、次の書類の用途を説明して希望を聞きます。
- 離職票:雇用保険の失業給付などを申請するときに使います。
- 健康保険の資格喪失証明書:国民健康保険への切り替えなどで求められます。
- 退職証明書:退職日や在職期間などを会社が証明します。
離職票と退職証明書は別の書類です。退職証明書を請求されたら、本人が求めた事項だけを記載し、遅滞なく交付します(厚生労働省)。離職票の手続きが終わるまで待たせる必要はありません。
3. 社会保険の喪失届は、退職翌日から動く
健康保険・厚生年金の加入者が退職した場合、通常、資格を失う日は退職日の翌日です。資格喪失届は、事実発生から5日以内に提出する扱いです(日本年金機構)。月末の給与計算と一緒に処理しようとすると期限を過ぎやすいため、退職日の翌営業日に着手する予定を入れます。
退職後の健康保険の切り替えは本人が行います。会社の届出だけでは、新しい保険への加入は完了しません。本人には、退職した会社の健康保険は退職日までの扱いであることと、次の加入先への確認が必要なことを伝えます。会社側の手順は以下の通りです。
- 年金事務所などへ資格喪失届を提出します。
- 健康保険組合に加入している場合は、組合側の手続きも確認します。
- 交付されている資格確認書など、返却対象の書類を確認して回収します。
マイナンバーカードは会社へ返却してもらうものではありません。書類の回収対象は加入先の案内で確認してください。
国民健康保険への切り替えを予定している人には、資格喪失証明書が必要か市区町村へ確認してもらいます。必要なら、会社で発行するか加入先に依頼するかを調べ、渡せる日を伝えます。扶養家族がいる場合は、その家族の切り替えも関係します。
4. 雇用保険は、喪失届と離職票の準備を一緒に
雇用保険の資格喪失届は、被保険者でなくなった日の翌日から起算して10日以内に、管轄のハローワークへ提出します(厚生労働省)。通常は退職日の翌日が資格喪失日です。社会保険とは期限が違うので、別々に予定を登録してください。
離職票が必要な場合は、その作成のもとになる「離職証明書」も提出します。本人が不要と言った場合でも、59歳以上の場合などは提出が義務のため、管轄のハローワークに確認します。
準備するのは、主に次の資料です。対象期間や追加資料は、提出先の案内に合わせます。
- 賃金台帳と給与明細
- 出勤簿やタイムカード
- 雇用契約書と退職届など、離職理由を確認できる資料
記載前に本人と確認したいのが離職理由です。自己都合、契約期間満了、会社からの働きかけなど、実際の経緯に沿って記入します。見解が食い違う場合は、その事情を隠さずハローワークに相談してください。
離職票は、会社が自由な書式で作って渡す書類ではありません。ハローワークの処理を経て交付されます。会社が受け取る方法なら、届き次第本人へ送り、送付日を記録します。電子交付を利用する場合も、本人が受け取れたか確認しましょう。
5. 最後の給与と源泉徴収票まで担当を決める
保険の届出が済んでも、退職対応は終わりません。未精算の経費、最後の給与、税務書類を給与担当者と確認します。
社会保険料は、資格喪失日と会社の控除方法によって最終給与から差し引く額が変わります。先月と同じ額をそのまま控除せず、給与計算の担当者に確認してください。住民税を給与から天引きしていた場合も、退職時期や次の勤務先への引き継ぎによって処理が変わります。
- 未払給与と立替経費の有無を確かめます。
- 社会保険料と住民税の控除額を計算します。
- 源泉徴収票の作成日と送付先を決めます。
退職者への給与所得の源泉徴収票は、原則として退職後1か月以内に交付します(国税庁)。年末まで待つ書類ではありません。次の勤務先での年末調整にも使うため、税理士に作成を依頼する場合は退職日と交付期限を伝えます。
また、本人から賃金などの支払いを請求された場合は、通常の給与日とは別に、原則7日以内の支払いや返還が必要になるルールがあります(厚生労働省)。請求を受けたら、その日のうちに給与担当者や社会保険労務士へ確認します。
6. 今日やること
退職予定者の名前で管理表を作り、書類ごとに担当者・期限・提出日・交付日を記録してください。提出した日と、本人に届いた日は分けて管理します。
- 本人と退職日、最終出勤日、有給休暇、退職後の連絡先を確認します。
- 加入保険を調べ、資格喪失届と離職票の担当者・提出期限を決めます。
- 本人に渡す書類を一覧にし、最終給与と源泉徴収票を給与担当者へ依頼します。