届出と保険・約6分
自宅の賃貸契約、会社名義にどう変える?
公開・あさひ国際会計株式会社

先に結論
自宅を会社の事務所にするなら、まず大家さんへ利用方法を相談します。契約変更と、会社が負担する家賃の決め方を順に整理します。
1. 名義変更の前に、事務所利用の承諾を取る
自宅を会社の事務所にするなら、法人名義への変更と、仕事場として使うことの両方を大家さんに相談します。契約者を会社に変えても、事務所として使ってよいとは限りません。特に住居専用の契約では、事務所利用を承諾する必要があります。 法人契約でも、用途が住居に限られている場合があるからです。
設立から間もない会社では、登記や口座開設を先に済ませ、賃貸契約の確認が後回しになりがちです。これから自宅住所を会社の所在地にするなら、登記申請やホームページへの住所掲載より前に相談します。すでに登記した場合も、承諾済みと考えず、現在の使い方を管理会社に伝えてください。
最初に手元の契約書と管理規約を開き、次を確認します。
- 使用目的が「居住用」に限定されているか
- 事務所利用や法人登記に関する制限があるか
- 契約者の変更や第三者への使用許可に承諾が要るか
- 看板、来客、郵便受けの社名表示に決まりがあるか
窓口が管理会社なら、まずそこへ連絡します。契約更新まで待たず、会社として使い始める前に確認する順番です。
2. 大家さんには、会社名より使い方を伝える
「法人契約にしたい」とだけ伝えると、従業員の出入りや不特定多数の来客を想像されるかもしれません。自分が引き続き住み、どの部屋で何の仕事をするのかを具体的に説明します。
相談前に、実際の利用予定を短くまとめておきましょう。まだ決めていないことは、予定として伝えます。
- 代表者が居住を続け、室内でパソコン作業をする
- 従業員が出勤するか、顧客が訪問するかを伝える
- 商品の保管や荷物の集荷があるかを伝える
- 法人登記と社名表示を希望するかを伝える
大家さんが気にするのは、建物の使い方や近隣への影響、家賃の支払いです。来客のない仕事なら、その点を説明したうえで、法人名義への変更も可能か尋ねます。従業員が通う予定なら、人数や時間帯も伏せずに話してください。
口頭で了承を得た後は、承諾の範囲を書面に残します。「登記は認めるが来客対応は認めない」など、条件が付くこともあります。後から店舗営業や従業員の勤務を始める場合は、その使い方が承諾に含まれるか再確認します。
3. 「名義変更」で済むか、再契約になるかを聞く
個人と会社は別の契約者です。契約書の名前を書き換えるだけで済むとは考えず、管理会社に必要な手続きを確認します、管理会社に必要な手続きを確認します。変更合意書などで対応する場合もあれば、個人の契約を終了して法人で契約し直す場合もあります。
法人側の審査では、登記事項証明書や代表者の本人確認書類などを求められることがあります。設立直後で決算書がないなら、その旨を先に伝え、代わりに何を提出するか聞きましょう。
署名前には、書類だけでなく費用と日付をそろえます。
- 法人契約の開始日と、個人契約の終了日
- 家賃、共益費、更新料などの変更額
- 敷金の返還先、引継ぎ方法、新たな預入額
- 保証会社の再審査や代表者の保証の条件
- 変更手数料、保険の変更、口座振替の切替日
特に敷金は、個人が預けたお金を会社の契約へ引き継ぐのか、いったん返してもらうのかを確認します。契約書と精算明細を税理士へ渡せるように残してください。
新しい条件が固まる前に、現在の契約の解約通知を出すのは避けます。契約変更が成立してから、支払口座や保険などを決めた日程で切り替えます。
4. 会社名義でも、家賃全額を経費にしない
住みながら仕事をする家では、契約者の名義と、会社が負担する金額を分けて考えます。会社名義にしただけで、生活に使う部分まで事務所の経費になるわけではありません。
仕事用と生活用の支出を、使い方に沿って分けることを「按分」と呼びます。まず間取り図に仕事専用の場所を記し、面積を確認します。寝室を兼ねる部屋や食卓で仕事をしている場合は、面積だけでは実態を説明しにくいため、使用時間なども含めて税理士に相談します。
記録する内容は、次のようなものです。
- 家全体と、仕事に使う場所の面積
- 仕事専用か、生活にも使う場所かの区別
- 共用する場所の使用時間と使い方
- 家賃と共益費それぞれの負担額の計算根拠
割合を先に決め、後から理由を探すと実態とずれます。「この部屋は業務専用で使う」など、現状から計算の根拠を作ってください。
会社が契約して社長の住居も提供する形になる場合は、役員社宅としての扱いや、社長から受け取る家賃の検討が必要になる場合があります。面積按分だけで処理を終えず、会社負担額と社長負担額を支払い開始前に税理士に確認します。
5. 最初の支払いまでに、精算方法をそろえる
法人名義への変更が認められなかった場合は、個人契約のまま事務所利用の承諾を得られるかを確認します。個人契約でも会社が業務分を負担する処理を検討できる場合はありますが、賃貸契約上の承諾と税務上の扱いは、それぞれ確認が必要です。
個人から会社へ貸す形を安易に作ると、契約の転貸禁止条項に触れる可能性があります。契約書を追加する前に、大家さんの承諾範囲と、会社で採る処理方法を整理してください。
税理士には「家賃を経費にしたい」という希望だけでなく、判断に使える資料をまとめて渡します。
- 現在の契約書と、変更後の契約書や承諾書
- 間取り図と、業務での使用状況のメモ
- 家賃、共益費、敷金、手数料の明細
- 支払者、引落口座、会社負担開始日の予定
最初の月は、個人の口座から払った分を会社が重ねて払わないよう、引落結果まで照合します。その後も、仕事部屋を変えたり従業員が通うようになったりした時点で、承諾条件と負担割合を見直します。
6. 今日やること
まず契約書を開き、管理会社へ相談するための情報をそろえます。会社が負担する家賃は、契約条件と税務処理を確認してから決めましょう。
- 契約書の使用目的、事務所利用、契約者変更の条項を読む
- 居住、仕事内容、来客、登記の希望をまとめ、管理会社へ相談する
- 間取り図と家賃明細を用意し、税理士へ負担額と処理方法を確認する