届出と保険・約6分
会社の実印や銀行印をなくしたら、何から動く?
公開・あさひ国際会計株式会社

先に結論
印鑑が見当たらないときは、銀行への連絡と法務局への届出を先に進めます。紛失の確認から新しい印鑑への変更まで、動く順番を整理します。
1. 探し続ける前に、銀行へ連絡する
会社の実印や銀行印をなくしたら、新しい印鑑を注文する前に、悪用を防ぐ連絡と届出を進めます。 一人社長なら、まず銀行へ電話し、続けて会社の印鑑を届け出ている法務局で廃止や改印の手続きをします。実印と銀行印を兼用している場合は、両方への対応が必要です。
外出先のかばんや事務所の引き出しを探すうちに、営業時間が終わることもあります。手元にないと分かった段階で、銀行の公式サイトにある紛失受付窓口へ連絡しましょう。複数の銀行に同じ印鑑を届け出ているなら、それぞれに連絡します。
電話では、法人名、支店名、口座番号など、分かる情報を手元に置きます。通帳までなくした場合は、その事実もまとめて伝えてください。
- 銀行印の紛失と、最後に使った日時を伝える
- 通帳、キャッシュカードの所在を整理する
- 利用を止める取引の範囲と、再開に必要な手続き
- 直近の振込や口座振替への影響
届出印の紛失で、すべての入出金が一律に止まるとは限りません。ネット振込や給与の支払いが使えるかは、銀行に確認します。支払日が迫っているなら、日付と支払い方法を伝えて相談してください。
2. 実印と印鑑カードは、別々に確認する
一般に会社の実印とは、代表者が法務局へ届け出た印鑑を指します。銀行印とは届出先が異なるため、銀行に連絡しても、法務局への届出は済みません。
法務局の印鑑カードは、窓口などで会社の印鑑証明書を請求するときに使います。印鑑そのものとは別に、カードが残っているかを確かめてください。12桁の会社法人等番号と代表者名を用意して、管轄の法務局の商業・法人登記担当へ届け出ます。
- 実印だけの紛失か、印鑑カードも紛失したかを伝える
- 古い印鑑の廃止と、新しい印鑑への変更の進め方
- カード紛失時の廃止と再交付の手続き
- 来庁する人に応じた提出書類・添付書類
カードだけの紛失なら、実印の紛失とは手続きが異なります。「会社の印鑑関係を全部なくした」とまとめず、何が残っているかを伝えると話が進みます。
法務局は、電話連絡だけでは印鑑カードの廃止(利用停止)や印鑑登録の無効化を受け付けません。 カードを紛失した場合は、電話相談で終えず、速やかに窓口や郵送で「印鑑カード廃止届出書」を提出してください。相談だけでは、第三者による印鑑証明書の不正取得などのリスクが残ります。
新しい印鑑がなくても、先にカード廃止届を出せます。古い印鑑の廃止や改印は別の手続きなので、紛失の状況に応じて法務局に確認します。
3. 盗難の疑いがあれば、その日のうちに警察へ
移動中に落とした可能性があれば警察へ遺失届を出し、盗まれた疑いがあれば被害の状況を相談します。警察への届出と銀行・法務局での手続きは、それぞれ進める必要があります。
従業員がいる会社では、責任を追及する前に、最後に使った場所と持ち出した物を確認しましょう。代表者一人の会社でも、記憶だけで追うより、直近の契約や銀行手続きの予定からたどると整理しやすくなります。
- 最後に印鑑を確認した日時と場所を記録する
- 一緒になくなった書類や物を一覧にする
- 警察への届出先、受理番号などを控える
- 身に覚えのない出金や書類の使用がないか確認する
印鑑証明書、本人確認書類、ネットバンキング用の端末まで同時になくした場合は、銀行にも追加で伝えます。不審な出金があれば、日時と金額を控え、すぐに連絡してください。
創業時の契約書類を一つのかばんに入れたままにしていると、紛失の影響が広がります。今回なくした物を具体的に洗い出す作業が、次の対応先を決める材料になります。
4. 新しい印鑑は、必要書類を聞いてから手配する
紛失の連絡と必要な廃止届の提出を進めたら、新しい印鑑を用意します。古い印影を再現する注文は避け、新しい印影にしてください。実印と銀行印を兼用していた会社は、この機会に分けると、次にどちらかをなくしたときの対応範囲を絞れます。
法務局へ届け出る印鑑には大きさなどの条件があります。印鑑店には法人の届出用であることを伝え、必要な条件を確認して注文します。急ぎの契約があっても、納期だけで決めず、法務局と銀行の手続き日程を合わせて考えましょう。
届出済みの印鑑を新しいものに変更する手続きを、改印と呼びます。代表者本人が出向くか、代理人が手続きするかでも準備する書類が変わります。
- 法務局には、所定の届書と新しい会社の実印を用意する
- 改印には代表者個人の実印と発行から3か月以内の個人の印鑑証明書が必須となるため、準備する(商業登記規則第9条第5項)
- 銀行には、新しい届出印、通帳、本人確認書類などの必要書類を問い合わせる
- 代理人が行く場合は、委任状の様式と本人確認の方法を確認する
銀行が改印後の会社の印鑑証明書を求める場合は、法務局で新しい印鑑を届け出て、証明書を取得してから銀行の手続きを進めます。必要な証明書の発行時期にも条件があるため、取り寄せる前に確認してください。
実印を変える手続きと、会社名や代表者を変える登記は別です。 印鑑をなくしただけで、会社の登記事項まで変えるわけではありません。
5. 手続き後は、支払いと保管場所まで確認する
書類を提出したら、いつから新しい印鑑で取引できるか、銀行で確認します。受付が済んだことと、取引の制限が解除されたことを同じだと思わないようにしてください。
予定していた振込や窓口取引があるなら、再開を確認してから進めます。契約の直前だった相手には、押印や印鑑証明書の提出が遅れるかを連絡しましょう。過去に結んだ契約書を一律に作り直す必要はありません。
- 銀行ごとの改印完了日と、取引再開の確認結果を記録する
- 手続き中の契約で、古い印鑑証明書の差し替えが必要か確認する
- 実印、銀行印、印鑑カード、通帳の保管場所を分ける
後から古い印鑑が見つかっても、そのまま使い始めないでください。紛失届の後や改印の後では扱いが変わるため、届け出た先に連絡します。
従業員に印鑑を預ける機会があるなら、使用日、書類名、持ち出した人、返却日を記録します。一人会社でも、銀行や契約先から戻った日に所定の場所へ戻す運用にすると、外出用のかばんに残りにくくなります。
6. 今日やること
いま紛失しているなら、印鑑探しと並行して連絡と届出を進めてください。まだ紛失していない会社は、連絡先と保管場所を確認しておきます。
- 届出先の銀行へ連絡し、止まる取引と直近の支払いへの影響を確認する
- 実印と印鑑カードの所在を分けて確かめ、カード紛失時は窓口や郵送で廃止届を提出する
- 必要書類と手続きの順番をメモし、新しい印鑑を手配する