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届出と保険・約6分

秘密保持契約、ハンコを押す前に読むところ

公開・あさひ国際会計株式会社

先に結論

取引先から届いたNDAは、情報の範囲・使い道・期間から確認します。小さな会社が守りきれない条項を見つけ、修正を相談する順番を整理します。

秘密保持契約は、受け取った情報を自社でどう扱うかまで確かめてから署名します。「商談の前にお願いします」と届いても、その場で急いで返送する必要はありません。会社名や署名欄を埋める前に、今回何を話し、誰に資料を見せる予定かをメモしてください。

商談や共同作業で知った情報の扱いを約束する契約を、秘密保持契約、略してNDAと呼びます。電子署名で届いた場合も、読むところは同じです。

1. 最初に、誰のどの情報を守る契約か確かめる

設立して間もない会社でも、見積もりのために独自の作業手順や原価の考え方を伝える場面があります。相手の資料だけを守る契約になっていると、こちらが渡す情報は契約上の保護対象から外れるおそれがあります。

「開示者」「受領者」という言葉が出てきたら、それぞれ誰を指すか確認します。双方が情報を渡すなら、双方に守る義務があるかを読みましょう。

  • 契約当事者の会社名が、実際に取引する相手と一致しているか
  • 自社から渡す資料や口頭の説明も保護されるか
  • 秘密に当たる情報を、表示やメールで判別できるか
  • 契約前に渡した資料まで対象に含めるか

「取引に関して知った一切の情報」という範囲は、管理の負担が重くなりがちです。すでに公表されている情報、以前から適法に保有していた情報、独自に開発した情報などを除く条項も探してください。除外を主張する際に記録が必要になるため、自社資料の作成日や受領メールは残しておきます。

口頭で聞いた内容も対象なら、後から秘密情報として書面で確認する方法を相談すると、担当者同士の認識をそろえやすくなります。

2. 「何のために使えるか」は実際の仕事に合わせる

守れるかどうかは、情報を使う人と作業を具体的に当てはめると分かります。 契約の目的が「取引の検討」だけなら、受注後の制作や運用まで含むかは確認が必要です。検討段階で結んだNDAを、そのまま業務開始後も使えると思い込まないようにします。

一人社長でも、資料を扱うのは自分だけとは限りません。見積もりを手伝う外注先や相談先に共有する予定があれば、署名前に条文と照らし合わせます。

  • 従業員には、どの範囲まで共有してよいか
  • 外注先への共有には、事前の書面承諾が要るか
  • 税理士などの専門家に相談する際も、承諾が要るか
  • クラウド保存や生成AIへの入力に制限があるか

専門家に守秘義務があっても、NDA上の共有条件を省略してよいとは限りません。外注先への共有が認められていても、同等の秘密保持義務を負わせるよう求められる場合があります。

普段使っているサービスにも注意してください。商談の録音を自動で文字起こしする、資料を生成AIに読み込ませる、といった作業が契約条件に合うかを確かめます。不明な間は入力を止め、共有方法を先に合意します。

3. 契約の終了日と、秘密を守る期限は別に読む

「契約期間が終われば対応も終わる」とは限りません。契約が終了した後も、秘密保持義務が続く条項があります。更新を断るための通知期限も含め、いつ何が終わるかを追って読みます。

期間の長短だけで判断せず、情報の性質と管理の負担を合わせて考えてください。短期間で古くなる販売予定と、長く使う技術情報では、必要な扱いが異なります。

  • 契約はいつ始まり、いつ終わるか
  • 自動更新を止めるには、いつまでにどう通知するか
  • 終了後の義務は、いつを起点にどこまで続くか
  • 返却・削除の対象に、複製やバックアップも含まれるか

特に「求められたら直ちにすべて削除する」という条項は、自社の保存環境で実行できるか確認します。メールの添付や自動バックアップから個別に消せない場合は、利用を止めて保管する扱いなどを相談してください。

法令上保存が必要な記録が混ざる可能性もあります。保存義務は税理士などに確認し、残す情報の範囲と保護方法を契約にどう反映するかを相手と詰めます。

4. 秘密を守る約束に、営業の制限が混ざっていないか

秘密情報の管理とは別に、今後の仕事を狭める条件が入っていることがあります。創業初年度は取引先が少ないため、一つの約束が次の受注に響くこともあります。

たとえば、相手と競合する会社との取引を制限する条項です。秘密情報を使う行為だけが対象なのか、関係のない営業まで制限するのかで、影響は変わります。

  • 競合先や相手の顧客との取引を制限していないか
  • 自社の提案や成果物の権利を、相手に渡す内容がないか
  • 損害賠償の対象・上限や、違約金の定めはどうなっているか
  • 紛争時に指定される裁判所や準拠法は何か

秘密保持の範囲を超える約束は、そのまま受けずに切り分けて相談します。 NDAを結ぶ段階では、制作物の権利や取引条件がまだ決まっていないこともあるためです。

損害賠償は、金額の上限だけでなく、何が起きたら責任を負うのかも読みます。外注先の漏えいについて自社がどこまで責任を負うかも確認してください。責任の範囲が読み取れない条項や、事業を広く制限する条項は、署名前に弁護士等へ相談を検討します。

5. 修正のお願いは、困る作業とセットで伝える

相手には「不利なので直してください」だけでなく、実際に止まる作業を伝えます。「見積もりに外注先の確認が必要です。承諾した外注先には共有できる形にしたいです」と説明すれば、修正の理由が伝わります。

返送期限が迫っているなら、確認中の条項と回答予定日を先に知らせます。合意までの間は、秘密情報の受け渡しを保留し、公開資料で打ち合わせを進められないか相談しましょう。

  • 該当する条番号と、対応できない理由をまとめる
  • 実行できる条件を示し、修正案を相談する
  • 合意した内容が、署名する最終版に反映されたか確認する

締結後は契約書を保管するだけで終わらせず、共有できる相手、禁止される使い方、終了時の対応を短いメモにして、扱う全員へ渡します。更新の通知期限も予定表に入れておくと、忙しい時期の見落としを減らせます。

6. 今日やること

届いた契約書を開き、自社の仕事に当てはめて読んでください。守れない条件があれば、署名前に具体的な作業を添えて相談します。

  • 自社が渡す情報と、受け取った情報を共有する相手を書き出す
  • 利用目的・終了後の義務・営業制限・損害賠償の条項に印を付ける
  • 修正したい条番号と理由をまとめ、取引先に確認の連絡をする

次の一歩

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