本文へ進む
創業GO!
ログイン

経営の数字・約6分

新サービス、何件売れたら開発費を戻せる?

公開・あさひ国際会計株式会社

先に結論

発売前に、初期費用を回収する販売件数と期限を計算します。毎月の維持費と入金時期も入れて、開発を進めるか判断しましょう。

新サービスを作り始める前に、初期費用を何件の販売で回収するか計算しましょう。発売後に売上が立っても、提供するたびに費用がかかるなら、売上の全額を開発費の回収には回せません。

創業1年目は、既存の仕事をしながら新サービスを準備する場面も多いはずです。開発の見積書を受け取った段階で、費用と販売計画を一枚にまとめます。細かな予測より先に、「この件数なら売れそうか」を確かめてください。

1. 開発費に、発売までの準備費用も足す

最初に集めるのは、開発会社の見積書だけではありません。販売ページの制作、試作品、初回の撮影など、発売するために一度だけかかる費用も拾います。すでに支払った分と、これから払う分を分けておくと、追加で必要なお金も見えます。

対象は今回のサービスのために発生する費用です。会社全体の家賃などを思いつきで上乗せすると、判断の基準がぶれます。一方、専用の場所を借りるなら、その負担は計画に含めます。

  • 発売前に一度だけかかる開発費・制作費を集める
  • 発売後も続く利用料・保守料を別に書く
  • 販売や提供の件数に応じて増える費用を分ける

社長自身の作業時間も横に記録してください。現金の支出がなくても、既存の仕事を断るほど時間を使うなら、その影響を無視できません。ただし、自分の時間を仮に金額へ換算したものと、実際の支払額は分けて扱います。

ここで作る表は事業判断用です。開発費を帳簿でいつ費用にするかとは別なので、会計・税務上の処理は税理士に確認します。

2. 1件売ったら、回収にいくら回せる?

次に、販売価格から、その1件を売って提供するために増える費用を引きます。外注による作業、材料、決済手数料、配送などが対象です。差し引いて残る金額を、ここでは「1件あたりの回収原資」と呼ぶことにします。

初期費用 ÷ 1件あたりの回収原資=初期費用の回収に必要な件数です。端数が出たら切り上げます。初期費用が回収原資の20倍なら20件、20.5倍なら21件が目安になります。

この計算は、発売後の毎月の維持費をまだ含めていません。まず商品の単位で計算し、次の段階で期限と維持費を入れます。

  • 販売価格には、予定している値引きも反映する
  • 追加の対応や修正に外注費が出るなら含める
  • 税込・税抜の数字を途中で混ぜない

価格の違うプランがある場合は、プランごとに回収原資を出してください。高額プランだけが売れる想定で件数を出すと、実際の販売構成からずれます。売れ筋が分からない発売前は、低価格プランが中心でも成り立つか確認すると判断しやすくなります。

回収原資がゼロ以下なら、販売数を増やしても初期費用は戻りません。価格、提供範囲、外注方法の見直しが先です。

3. 回収期限を決めると、月の販売目標が出る

「いつか戻る」では、開発へ進む判断ができません。会社の支払い予定を見ながら、発売から何か月で回収したいかを決めます。ここで置く期限は経営上の目標で、業種共通の正解ではありません。

保守や専用ソフトなどの維持費があるなら、期限までの合計額を初期費用に足します。計算式は「初期費用+回収期限までの維持費」を「1件あたりの回収原資」で割ったものです。

たとえば、この計算で必要件数が24件となり、回収目標を発売から6か月に置くなら、月平均4件の販売が必要です。ただし、発売直後から毎月同じ件数が売れるとは限りません。

  • 発売月から月ごとの販売予定を並べる
  • 累計の回収原資から、その期間の維持費を引く
  • 差し引いた累計額が初期費用に届く月を探す

発売が遅れれば、販売を始める前にも費用が増える場合があります。開発の遅れを想定するときは、回収月を後ろへ動かすだけでなく、追加の保守料や制作費も見直します。

4. 売れる件数と、届けられる件数を照合する

月の販売目標が出たら、営業と提供の両方から実現できるかを確かめます。既存のお客さんに案内できても、関心があるという返事と注文は別です。まだ受注していない相手を、そのまま販売予定へ入れないようにします。

過去の営業記録があれば、提案した相手のうち何件が受注に進んだかを使います。新サービスで記録がなければ、候補のお客さんに内容と価格を見せ、購入時期や社内の判断手順まで聞いてから計画を直してください。

  • 月の目標に届く提案先があるか
  • 商談から注文までの期間を見込んでいるか
  • 受注後の作業を、既存の仕事と並行してこなせるか

回収に必要な件数が、売れる件数や提供できる件数を超えるなら、開発範囲を縮める判断が要ります。 最初に提供する機能を絞る、個別対応を減らすなど、費用と作業量を下げる案を見積もり直します。

月額サービスでは、契約1件を一度数えて終わりにはできません。月ごとに料金を払う顧客数と、その月の提供費用を置き、解約率と継続月数も置き、回収額を積み上げます。

5. 売上で回収できても、入金前に払えるか

最後に、計算上の回収月と、口座へお金が戻る月を分けて確認します。開発費を先払いし、お客さんからの入金が納品後になるなら、その間の支払いを会社のお金でつなぐ必要があります。

注文予定があるからといって、税金や給与の支払いに使うお金まで開発へ回すと、本業の運営に響きます。既存の資金繰り表へ、新サービスの支出日と入金予定日を足してください。

  • 開発費の着手金・中間金・残金の支払日を書く
  • 販売予定を、実際の入金予定月へ置き直す
  • 販売が遅れた場合の口座残高も確認する

追加機能の発注前には、販売実績と回収の進み具合を見直します。すでに使った開発費を取り戻したくても、追加支出に見合う注文が見込めなければ、いったん止める選択肢を残してください。

6. 今日やること

開発の発注前なら見積書から、開発中なら支払済みの明細から着手します。数字が不明な箇所は空欄にせず、確認相手を書いておきましょう。

  • 初期費用、毎月の維持費、1件ごとに増える費用を一枚に分けて書く
  • 1件あたりの回収原資から、期限までの必要販売件数を計算する
  • 月の販売・提供件数と入出金予定を照合し、発注する範囲を決める

次の一歩

事前登録すると開始時に案内が届き、資料56本が開けます。