届出と保険・約6分
パートやバイト、週何時間で雇用保険に入れる?
公開・あさひ国際会計株式会社

先に結論
雇用保険は、週の契約時間と雇用の見込みで判断します。採用前の確認から、初めての加入手続きまでを整理します。
パートやアルバイトでも、原則として週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上雇う見込みがあれば、雇用保険への加入が必要です。名称や月給の額、本人の希望だけでは決まりません。
初めて短時間スタッフを採用するなら、求人を出す段階で勤務時間と契約期間を決め、入社前に加入対象か判断します。以下は2026年10月時点の制度に沿った進め方です。加入条件の詳しい説明は、厚生労働省の雇用保険の適用基準に関する厚労省案内で確認します。
1. 週20時間は、休憩を除いた契約時間で見る
判断に使うのは、雇用契約や就業規則で働くと決めた時間です。これを「所定労働時間」と呼びます。通常、休憩や臨時の残業は含めません。
毎週の勤務日数と、休憩を除いた1日の勤務時間を掛けて、週の時間を出します。「昼休みを含めると20時間」という契約は、そのまま加入条件を満たすとは限りません。
シフト制でも考え方は同じです。ただし、週ごとに勤務時間が違う場合は、契約上の勤務周期などから判断します。「月によって変わるから対象外」と処理せず、勤務予定をハローワークに見せて相談してください。
採用条件を決めるときは、次の項目を一枚にまとめます。
- 週の勤務日数と、休憩を除く勤務時間
- シフトが変わる場合の勤務周期と時間の決め方
- 入社日、契約終了日、更新の有無
契約では週20時間未満でも、毎週のように追加勤務を頼んでいるなら、契約と実態がずれています。給与を締める際に勤怠も見て、働き方を変えるなら加入要否を再確認します。
2. 短期契約でも、更新の見込みまで確認する
もう一つの条件は、31日以上引き続き雇われる見込みがあることです。期間の定めがない契約や、最初から31日以上の契約なら、この条件に当てはまります。
注意したいのは、最初の契約だけ短くする場合です。契約書に更新する場合があると書かれていて、31日未満で終了することが明確でなければ、31日以上の雇用見込みがあるものとして扱います。「まず短期間試して、問題がなければ続けてもらう」という採用でも、更新により31日以上の雇用を見込み、週20時間以上などの要件を満たすなら、初日から加入が必要です。
試用期間が終わるまで加入を待つ、という扱いにはしません。入社時点で条件を満たせば、試用期間中も対象です。
- 更新しない短期の仕事か、継続を予定した採用かを整理する
- 求人票と雇用契約書の契約期間・更新条件をそろえる
- 採用後に延長が決まったら、加入が必要になる日を特定する
当初は短期で終える予定でも、途中で31日以上の雇用が見込まれることがあります。その時点で他の加入要件も満たしていれば、そこから加入が必要です。延長後の契約書を作るときに、保険の手続きも進めます。
3. 学生や掛け持ちは、時間だけで決めない
昼間の学校に通う学生は、原則として雇用保険の対象外です。ただし、休学中の人や、卒業後も同じ会社で働く予定の人などには例外があります。夜間・通信制なども扱いが異なるため、「学生です」という返事だけで判断しないでください。
通常は、複数の勤務先の時間を足して週20時間にする扱いではありません。また、双方で要件を満たしても、原則は主たる事業所で加入します。65歳以上には、本人の申出により複数の勤務先の労働時間を合算する特例があります。詳しい条件は、厚生労働省の「雇用保険マルチジョブホルダー制度」で案内されています。
入社前の確認事項には、次を加えておきます。
- 学生の場合は、課程や休学・卒業予定の状況
- 他社でも働く場合は、その勤務時間と雇用保険の加入状況
- 過去に加入していた場合は、雇用保険被保険者番号
「扶養の範囲で働きたい」という希望があっても、雇用保険の判定は別に行います。健康保険・厚生年金とも条件が違います。税金の扶養は税理士に、雇用保険の加入判断はハローワークや社会保険労務士に相談します。
4. 初めての加入は、会社側の手続きから
初めて従業員を雇う会社は、その人の加入届だけで終わらない場合があります。労働保険の保険関係を成立させる手続きと、雇用保険を扱う事業所としての届出が必要です。すでに従業員がいる会社なら、事業所の手続きが済んでいるかを先に調べます。
一般的な事務所や店舗では、労働基準監督署で労働保険の手続きを進め、ハローワークへ雇用保険の届出をします。業種によって窓口や扱いが異なるため、採用日が決まった段階で所在地を管轄する窓口に相談してください。
主な届出・申告・納付期限は次のとおりです。
- 労働保険の保険関係成立届は、保険関係が成立した日の翌日から10日以内
- 労働保険料の概算申告・納付は、保険関係が成立した日の翌日から50日以内
- 雇用保険の適用事業所設置届は、設置した日の翌日から10日以内
- 雇用保険の被保険者資格取得届は、資格取得の事実があった日の属する月の翌月10日まで
手続きの案内は、厚生労働省の「労働保険の成立手続」と、各労働局が掲載する「雇用保険事務手続きの手引き」を参照します。初回からe-Govによる電子申請も選べます。利用準備や添付書類は、e-Gov電子申請で届出名を検索して調べます。
雇用契約書、労働者名簿、出勤簿、賃金台帳など、確認に使う書類を準備します。法人や事業所の確認資料も、窓口や電子申請の案内に沿ってそろえます。
5. 給与を払う前に、保険料と届出結果を確かめる
雇用保険料は会社と従業員が負担し、従業員負担分は給与から控除します。料率は年度や事業の種類によって異なります。給与ソフトの初期設定をそのまま使わず、支給前に当年度の料率と対象者の設定を確かめてください。
本人には、採用条件を説明する際に、加入対象になることと給与から保険料を差し引くことを伝えます。手取り額への質問が出てから説明するより、入社後の行き違いを減らせます。
届出後は、受理された内容まで確認します。
- 氏名、被保険者番号、資格取得日を照合する
- 本人に渡す被保険者証や通知書を渡す
- 会社の控えと届出の処理状況を保存する
加入漏れに気づいた場合は、気づいた日を加入日にして済ませず、契約書と勤怠記録を持ってハローワークへ相談します。過去にさかのぼる手続きや保険料の調整が必要になる場合があります。
6. 今日やること
まず採用予定者一人分の契約条件を整理し、入社日から逆算して届出を予定に入れます。すでに働いている人がいるなら、契約と直近の勤怠を照合してください。
- 休憩を除いた週の勤務時間と、契約期間・更新条件を書き出す
- 学生・掛け持ちの状況を把握し、判断が残る点をハローワークに聞く
- 会社側の手続き状況を調べ、加入届の提出日、概算保険料の申告・納付日、初回給与の設定確認日を決める