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売上をつくる・約6分

既存客への値上げ、いつどう伝える?

公開・あさひ国際会計株式会社

先に結論

既存客への値上げは、相手の予算や更新時期に合わせて相談します。通知文の書き方から、返答別の対応、合意の残し方まで順に進めます。

1. 次の請求前では遅い。相談日を先に決める

既存のお客さんへの値上げは、価格を変えたい日から逆算して相談します。燃料費や仕入価格が上がっていても、突然の通知では相手が予算を調整できません。創業時から取引してくれた相手ほど、日頃のお礼と今回の相談を分けて、早めに話す時間を取ります。

まず、契約書や見積書にある契約期間、価格変更の条件、更新・解約の申出期限を確認してください。通知を送っただけで、新価格への合意が取れたとは扱わないことが出発点です。契約期間中の変更が難しければ、次の更新や次回注文からの改定を相談します。

社内の準備では、適用希望日の1〜2か月前を相談開始の目安に置くと予定を組みやすくなります。これは制度上の期限ではありません。相手の予算決定や社内承認に時間がかかるなら、さらに前から動きます。

  • 契約書で価格変更と更新の条件を確認する
  • 担当者に予算決定と社内承認の時期を聞く
  • 相談開始日、回答希望日、適用希望日を決める

すでに受注している仕事と、これから受ける仕事は分けて整理しましょう。進行中の案件まで新価格に含めると、話がこじれやすくなります。

2. 理由と金額を、お客さんごとに一枚にする

連絡する前に、現在の価格、改定希望価格、変更理由、対象の仕事を一枚にまとめます。「物価が上がったため」だけでは、なぜその金額なのかが伝わりません。配送が多い仕事なら燃料費、製造なら材料費など、その取引で増えた負担を示します。

根拠には、仕入先の改定通知や直近の請求明細を使います。ただし、燃料単価の上昇率を、そのままサービス全体の値上げ率にはできません。費用全体に占める割合が違うためです。自社で吸収してきた負担と、今回価格に反映したい部分を説明できるようにします。

創業時の見積もりが低すぎた場合は、燃料費だけを理由にせず、対応範囲や作業量を見直した結果も伝えます。実態と合わない説明は、後の交渉で困ります。

  • 現行価格と改定希望価格を同じ税込・税抜の表記で並べる
  • 値上がりした費目と、その仕事への影響を書く
  • 価格に含む作業と、別料金になる作業を確認する
  • 合意済みの案件と、改定を相談する案件を分ける

詳しい原価表をすべて見せる必要はありません。担当者が上司に説明するときに使える、短い根拠を用意します。

3. 最初の文面は「相談」と「条件」を明確に

継続的に仕事をもらっている相手には、短い電話や打ち合わせで先に伝え、その日のうちにメールを送ると認識をそろえやすくなります。普段からメールだけで取引しているなら、メールから始めても構いません。

謝罪を重ねると、何を求めている連絡なのかがぼやけます。感謝、理由、変更条件、返答のお願いの順に書きましょう。次の文面は、角括弧を埋め、実態に合う理由に直して使います。

件名:[サービス名]の料金改定に関するご相談

いつも[サービス名]をご利用いただき、ありがとうございます。

継続してご依頼いただいている[業務名]の料金について、ご相談がありご連絡しました。[燃料費・材料費など]の上昇が続き、現在の料金で[配送頻度・作業範囲など]を維持することが難しくなっています。

つきましては、以下の条件で料金を改定させていただきたく存じます。

  • 対象業務:[対象となる商品・サービス]
  • 現行料金:[金額、単位、税込・税抜]
  • 改定希望料金:[金額、単位、税込・税抜]
  • 適用希望:[年月日以降の新規ご注文分など]
  • ご回答希望日:[年月日]

すでにご注文いただいている分は、合意済みの条件で対応します。今回の変更について、ご予算や社内手続きのご都合を伺えますでしょうか。ご不明な点があれば、説明のお時間をいただければ幸いです。

既存注文の扱いは、自社の提案と一致させてください。添付見積書がある場合も、メール本文と適用日・金額がずれていないか送信前に照合します。

4. 難色を示されたら、金額を下げる前に理由を聞く

「値上げは難しい」と言われても、その場で元の価格に戻さず、何が障害なのかを聞きます。予算総額が足りないのか、今期の予算を変えられないのか、社内説明の資料が不足しているのかで、提案が変わります。

価格を据え置く案には、対応範囲や期間の条件を付けると、負担だけが残るのを防げます。たとえば配送回数をまとめる、定例作業の頻度を減らす、追加対応を別見積もりにする方法があります。削る内容は相手の業務に支障がないか確認し、品質や安全に必要な工程を交渉材料にしないでください。

  • 予算が足りない場合は、作業範囲や数量を調整する
  • 適用時期が合わない場合は、開始日の変更を検討する
  • 社内承認が進まない場合は、比較表や理由書を補う

開始日を遅らせるなら、その間の負担を自社が支えられるか先に計算します。相手の承認が取れそうという理由だけで、赤字の期間を延ばさないようにします。

交渉前に、受けられる最低価格と譲れる条件を手元に書いておくと判断がぶれません。合意が難しい場合は、契約上の義務を確認したうえで、次回更新や新規注文の受け方を相談します。急な作業停止で結論を迫るのは避けましょう。

5. 了承の返事をもらったら、適用条件まで残す

「分かりました」という返事だけでは、金額まで了承したのか、相談内容を受け取っただけなのか判断しづらい場合があります。新価格と対象業務、適用開始の基準をまとめ直し、契約に応じた書面やメールで合意を残します。

特に、注文日・納品日・作業日のどれで新価格に切り替えるかを曖昧にしないでください。同じ月の請求に旧価格と新価格が混在するなら、明細でも分かるようにします。

  • 合意した価格、対象、適用条件を記録する
  • 見積書や請求書のひな形を更新する
  • 初回請求前に、合意内容と明細を照合する

返答がない相手には、回答希望日に受領状況と検討予定を確認します。沈黙を了承とみなして請求を切り替えないようにしましょう。

6. 今日やること

まず一社分を整理し、相談を始める日をカレンダーに入れてください。

  • 対象のお客さんの契約書を開き、更新日と価格変更の条件を確認する
  • 現行価格、改定希望価格、負担が増えた理由を一枚に書く
  • 通知文の下書きを作り、担当者へ連絡する日を決める

次の一歩

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