売上をつくる・約6分
提案した相手に決裁権がないとき、どう進める?
公開・あさひ国際会計株式会社

先に結論
担当者の好感触だけでは、受注日は決まりません。決裁者、判断材料、社内承認の日程を順に確かめ、相手が社内で説明しやすい提案に整えます。
1. 「上司に相談します」の次をその場で決める
提案した相手に決裁権がなければ、誰が判断するか、何を見て決めるか、いつ承認を得るかを順に確認します。「上司に相談します」と言われたまま商談を終えると、相手の社内で何が止まっているのか分からなくなります。、相手の社内で何が止まっているのか分からなくなります。
創業直後は、提案書づくりも納品も社長の仕事です。好感触だった案件に何度も資料を足しているうちに、ほかの営業に使う時間がなくなりがちです。初回商談の終盤か、見積もりを出す前に、社内での進め方を聞いておきましょう。
いきなり「決裁権はありますか」と尋ねると、担当者の立場を探っているように聞こえます。提案を通すための相談として、次のように切り出します。
- 「ご依頼が決まるまで、社内ではどなたに確認されますか」
- 「その方は、どの点を気にされそうでしょうか」
- 「いつ頃のご判断を目指して、資料を用意するとよいですか」
全部の答えが出なくても構いません。分からない項目を一緒に確認してもらう約束まで進めれば、次の商談の目的ができます。
2. 使う人、確認する人、決める人を分けて聞く
目の前の担当者が「欲しい」と思っていても、会社として予算を使う判断は別の人が担う場合があります。利用する部署の上司に加え、金額や契約内容によって経理、購買、情報システムの確認が入ることもあります。
まず聞くのは、今回の提案を誰が承認するかです。氏名まで聞き出す必要はありません。「部長が予算を確認し、社長が最終判断する」程度に分かれば、資料の届け先と順番を考えられます。、資料の届け先と順番を考えられます。
- 利用する人には、仕事の進め方や使い勝手を確認します。
- 途中で確認する人には、費用や契約条件などの確認事項を聞きます。
- 最後に決める人には、依頼する理由と判断条件を確かめます。
担当者を飛び越えず、その人が社内で進めやすい形を相談します。 上司と直接話したい場合も、「費用対効果の説明が必要でしたら、次回はご一緒にお話しできますか」と担当者に提案します。
同席が難しければ、無理に面談を求めません。上司に聞かれそうな質問を教えてもらい、担当者から説明できる材料を渡します。
3. 上司が判断する材料は、一枚に絞る
担当者には伝わった説明も、社内に回ったときには背景が抜け落ちます。提案書だけを見た上司は、「なぜ今頼むのか」「今のやり方では困るのか」から考えるかもしれません。
資料を増やす前に、「上司の方が依頼を判断する際、費用以外に確認される点はありますか」と聞きます。予算内かどうかが気になる相手に、機能の説明を何ページも足しても、判断は進みません。
たとえば、社内作業の一部を請け負う提案なら、現在の作業時間、依頼後に相手側へ残る作業、費用を並べます。まだ分からない削減時間を成果として書かず、担当者と確認した数値と見込みを分けて載せます。
社内説明用の一枚には、次の項目を入れます。
- 今、困っていることと、対応したい時期
- 依頼する作業と、依頼に含まれない作業
- 初回費用、継続費用、追加費用が生じる条件
- 開始までの手順と、相手側にお願いする準備
- 判断前に確認が必要な点と、その回答
担当者が口頭で補わなくても、依頼の理由と費用が伝わる資料を目指します。送る前に「この内容なら社内で説明しやすいですか。足りない項目はありますか」と確認すると、見当違いの作り直しを減らせます。
4. 欲しい日から逆算して、承認の日を置く
「来月から使いたい」は、発注日とは限りません。承認を得た後にも、取引先登録や契約確認などが残る場合があります。希望する開始日に間に合うかは、それらの所要日数も聞いて判断します。
会議で承認する会社なら、会議当日だけでなく、資料の提出期限を聞きます。提出に間に合わなければ、次の会議まで判断が延びるかもしれません。
- 利用や作業を始めたい日
- 社内で判断する日と、資料を提出する日
- 承認後に必要な手続きと、見込まれる日数
- こちらが発注を受けてから準備に必要な日数
日程は相手に尋ねるだけで終えず、「その開始日なら、当社ではこの日までに正式なご依頼が必要です」と伝えます。間に合わなければ、開始日を動かすか、最初に対応する範囲を絞れるかを相談します。
口頭で決まった予定は、商談後のメールに残します。「担当者様が承認日を確認」「当社が説料資料を送付」のように、誰が何をいつまでにするかを書けば、互いの待ち時間を減らせます。
5. 承認が見えないうちは、追加作業を広げない
判断する人も日程も分からないまま、詳しい設計や何度もの修正を頼まれることがあります。関心はあっても、予算の相談が始まっていない可能性があります。そこで断るか受けるかを急いで決めず、追加資料が何の判断に必要なのかを聞きます。
「今回の修正版で、どなたが何を判断される予定ですか」と確かめれば、必要な作業の範囲を相談しやすくなります。
- 承認に必要な質問が具体的なら、その回答を用意します。
- 予算が未確認なら、概算を渡して予算確認を先にお願いします。
- 検討時期が未定なら、詳しい作り込みを止め、再開時期を相談します。
好感触と社内承認は分けて扱います。 一人で営業と納品を担う会社では、受注前に予定を埋めすぎると、正式に決まった仕事を受けにくくなります。作業枠を仮押さえするなら期限を伝え、期限後の開始日は改めて相談する形にしておきましょう。
6. 今日やること
返事を待っている提案を一件選び、決裁者・判断材料・承認日程のうち、分かっていない項目を書き出してください。次の連絡は進捗を聞くだけで終えず、担当者が社内で進めるための相談にします。
- 誰が最終判断し、その前に誰の確認が入るかを担当者に聞きます。
- 社内説明に足りない材料を確認し、一枚にまとめて送る日を決めます。
- 資料の提出日と判断予定日を聞き、次に連絡する日を合意します。