税金と消費税・約6分
電帳法って結局何する?領収書データの保存
公開・あさひ国際会計株式会社

先に結論
メールやネットで受け取る領収書は、データのまま保存します。一人社長が迷わず続けられる保存先と手順を決めましょう。
1. ネットの領収書は、紙に印刷して終わらせない
メールやネット購入で受け取った領収書は、紙への印刷だけで済ませず、データのまま保存します。請求書をメールで受け取る場合と同じく、領収書も電子帳簿保存法の「電子取引データ保存」の対象です(国税庁)。
登記直後にパソコンを買った、ネットで名刺を注文した、仕事用のサービスを契約した。こうした支払いでも、購入先のサイトで領収書が発行されていれば保存対象になります。税理士が決まるまで後回しにせず、受け取った月から集めておきましょう。
最初に分けるのは、経費の種類よりも受け取り方です。
- 購入サイトやメール添付で受け取った領収書は、データで保存します。
- メール本文に取引内容が書かれている場合は、本文も保存します。
- 店頭で紙の領収書を受け取った場合は、まず紙を保管します。
紙を撮影して画像を残す場合と、最初から電子データで受け取る場合では、適用されるルールが違います。紙の原本を捨てるにはスキャナ保存の要件を満たす必要があるため、自己判断で処分せず、税理士に確認してください。
2. 購入履歴を開き、領収書を取り出す
ネット購入では、商品が届くと用事が済んだ気になりがちです。しかし、注文履歴が残っていても、領収書をいつまで表示できるかはサービスごとに異なります。退会や担当アカウントの変更で、取り出せなくなる場合もあります。
創業したばかりなら、会社用のカード明細を見ながら、利用先の購入履歴を順に開いてください。カード明細は支払いを探す手掛かりになりますが、購入先から受け取った領収書の代わりとして、それだけ保存すればよいとは限りません。
取得する形は、届き方に合わせます。
- PDFが発行されている場合は、そのファイルをダウンロードします。
- メール本文が領収書になっている場合は、取引内容が読める形で本文を保存します。
- Web画面だけで表示される場合は、取引情報が欠けないようPDFやスクリーンショットで保存します。
保存後は一度開き、日付・金額・取引先・購入内容が読めるか確認します。画面の下が切れた画像や、ログイン画面しか入っていないPDFでは困ります。複数ページある領収書は、途中を抜かさず残してください。
3. 保存先は一つ、名前は同じ順番にする
一人社長なら、会社用のクラウドストレージなどに「経理」を作り、その下を「年度」「月」で分けるところから始められます。個人の写真フォルダやメールの受信箱に散らばった状態を解消しましょう。
法律では、保存した取引データを日付・金額・取引先で探せることなどが求められます。検索機能の要件が免除される場合もありますが、適用条件は税理士に確認してください。免除の対象でも、名前をそろえておくと決算前の探し物が減ります(国税庁)。
ファイル名で管理するなら、次のように項目の順を固定します。
- 日付は「20260910」のように年月日の順で入れます。
- 金額は「11000」のように桁区切りなしで入れます。
- 取引先は表記をそろえ、同名の取引には末尾に連番を付けます。
たとえば「20260910_11000_あおぞら文具.pdf」です。売り手の領収書に記載された取引日と金額を使い、カードの引落日と混ぜないようにします。
名前を付けただけで保存要件が全部そろうわけではありません。必要なデータをまとめて取り出せることや、画面で明瞭に表示し、書面に出力できる環境も確認します。クラウドを使うなら、ファイル名で検索して見つかるか、ダウンロードして開けるかまで試してください。
4. 専用ソフトを買う前に、書き換え防止の方法を決める
保存要件には、後からデータを不当に書き換えたり削除したりしないための対応もあります。これを満たす方法は、有料ソフトの導入だけではありません。不当な訂正・削除を防ぐ社内ルールを定め、そのとおりに運用する方法も認められています(国税庁)。
一人の会社でも、国税庁が公開する事務処理規程のひな型を参考に、実際の作業に合わせたルールを作れます。会社名を入れるだけで終わらせず、自分が続けられる内容かを読んで確かめてください。
- 保存作業と管理を誰が担当するかを定めます。
- 訂正や削除が必要な場合の手続きと記録方法を取り決めます。
- ファイルを置く場所と、保存までの作業手順を明確にします。
買い手側で領収書の金額や宛名を書き換えるのは避け、誤りがあれば発行元に訂正を依頼します。差し替え時の扱いも、規程に沿って記録しましょう。
すでに会計ソフトの証憑保存機能を使っているなら、対象の契約プランでどの要件を満たせるか確認します。「画像を添付できる」という説明だけで判断せず、検索、訂正・削除の履歴、データの取り出し方を見てください。
5. 毎週の保存と、月末の照合を組み合わせる
保存は、注文や支払いの直後に行うと漏れを減らせます。仕事の途中で難しいなら、週に一度、領収書を集める時間を予定に入れてください。これは法定期限の説明ではなく、創業期にため込まないための作業日です。
月末にはカード明細や口座の出金と照合し、保存漏れを探します。同じ日に保存した注文確認書と領収書を、別々の経費として計上していないかも確認しましょう。
- 支払いがあるのに領収書がない取引は、購入履歴やメールを探します。
- 解約予定のサービスは、退会前に必要なデータを取り出します。
- 保存済みのデータは、別の場所にもバックアップを残します。
税理士への送付と、会社での保存は別に確認します。共有フォルダに置いた後、誰が保存要件への対応を担うのかを決めてください。保存期間や、会計ソフトを解約した後の保管方法も相談しておくと、契約変更時に慌てずに済みます。
6. 今日やること
まず今月分で保存の流れを一度通し、同じ手順を過去の月へ広げてください。未取得の領収書が多ければ、利用先の一覧を作るところから始めます。
- 会社用の保存フォルダを作り、ファイル名を「日付_金額_取引先」にそろえます。
- 今月のネット購入先を開き、領収書を取得して、内容が読めるか確認します。
- 国税庁の規程ひな型を確認し、保存方法と担当範囲を税理士に相談します。