経営の数字・約6分
利益と税金の見積もり、決算前に何を確認?
公開・あさひ国際会計株式会社

先に結論
決算3か月前は、利益の見積もりに抜けがないか点検する時期です。税理士への確認から納税資金の確保まで、順に進めます。
1. 決算3か月前、まず帳簿が何月分までか確かめる
決算3か月前になったら、利益と税金の見積もりを税理士に頼み、その計算に含まれている取引を確認します。すでに概算を受け取っている場合も、数字を更新する時期です。
初めての決算では、会計ソフトに表示された利益をそのまま決算の予想に使いたくなります。ただ、銀行口座の連携が済んでいても、未払いの外注費や社長が立て替えた経費まで入力されているとは限りません。資料を渡した月と、記帳が終わった月が違う場合もあります。
最初に確認するのは、利益の大小より「何月分まで、何を含めた数字か」です。税理士が未定なら、決算月と記帳状況を伝え、決算・申告の依頼先を探すところから着手します。
- 売上と経費は何月分まで入力済みか確認します。
- 提出していない請求書や立替経費を集めます。
- 内容が分からず処理を保留している入出金を洗い出します。
未処理の資料があれば、提出予定日も伝えます。そろうまで相談を待たず、現時点で分かる範囲と未確認の範囲を分けて渡してください。
2. 残りの売上は、入金日だけで振り分けない
帳簿の締まった月が分かったら、その翌月から決算月までの予定を足します。決算3か月前に相談しても、記帳が遅れていれば、見積もる期間はそれより長くなります。
売上の予定は、受注済みと商談中を分けましょう。受注済みでも、納品や作業完了が翌期になる仕事は、今期の売上に計上できるか確認が必要です。反対に、入金が翌期でも今期の売上として扱う仕事があります。入金予定表だけでは判断できません。
案件ごとに、次の情報を並べます。
- 受注の状況と契約金額を記載します。
- 納品日や作業完了日の予定を記載します。
- 相手の確認(検収)が終わる予定と請求条件を記載します。
- その仕事に対応する仕入れや外注費を記載します。
売上だけを足し、対応する外注費を忘れると利益を多く見積もってしまいます。追加作業の金額が未合意なら、その点もメモしておきます。
商談中の案件は、受注済みの仕事に混ぜず、「入らない場合」と「入る場合」を別に計算します。社長の期待と、税理士が計算に使った前提の食い違いを防ぐためです。売上を今期と翌期のどちらに計上するか迷う案件は、契約書や納品予定を添えて税理士に確認してください。
3. 大きな支払いほど、利益とのずれを調べる
通帳から出ていった金額が、そのまま今期の経費になるとは限りません。利益の見積もりを点検するときは、金額の大きな支払いから確認すると、修正が必要な箇所を探しやすくなります。
たとえば設備の購入費は、使う期間に分けて経費にする処理が必要になる場合があります。この処理を減価償却と呼びます。年払いのサービス料も、支払った時期だけで今期の経費と決めず、契約期間と会計処理を確認します。
借入金の返済についても、元本の返済と利息を分けて見ます。元本を返すと預金は減りますが、その返済額を経費として利益から差し引くわけではありません。
- 設備や車両は、購入額と使い始めた日を伝えます。
- 年払いの契約は、支払額と対象期間を伝えます。
- 借入金は、元本と利息の内訳が分かる返済予定表を渡します。
- 商品を扱う場合は、決算時に残りそうな在庫を伝えます。
商品を仕入れても、売れずに残る分までそのまま当期の売上原価になるわけではありません。利益を下げたいからと仕入れを増やすと、預金だけが先に減ることもあります。個別の経費処理や特例の適用は税理士に確認し、購入の判断とは分けて考えます。
4. 税理士には、税額と一緒に計算の前提を聞く
資料がそろったら、今期の利益予想と税金の概算を依頼します。「税金はいくらですか」だけでは、消費税まで含むのか、すでに払った分を差し引いているのかが分かりません。
帳簿上の利益と、税金を計算するときの所得には、経費として扱える範囲などによる差が出る場合があります。単純に利益へ一定の割合を掛けた金額を、納税額として決めないようにします。
依頼するときは、次の項目を一緒に聞いてください。
- 法人税・地方税と、申告が必要な場合の消費税を分けて確認します。
- すでに納めた分がある場合は、今後の支払見込み額を確認します。
- 税目ごとの納付予定日と納付方法を確認します。
- 未確定の売上や経費が変わると、概算がどう動くか確認します。
税額だけでなく、「その金額になる前提」を受け取ると、その後の変更を伝えやすくなります。社長が細かな税額計算を覚えるより、「この案件が翌期にずれた」「外注費が増えた」と差分を知らせる方が、見積もりの更新につながります。
5. 決算前にもう一度更新し、払う日まで追う
最初の概算を受け取ったら、次に見直す日を税理士と決めます。決算1か月前など、納品予定や経費が見えてくる時期を社内の確認日にすると進めやすくなります。これは法定期限ではなく、作業の目安です。
更新時には、前回渡した表を書き換えるだけでなく、変更箇所が分かるように残します。大きな案件が動いた場合は、予定した確認日を待たずに連絡してください。
- 納品が翌期へずれた案件を伝えます。
- 追加で発生した外注費や購入費を伝えます。
- 在庫や未処理の経費について、新たに分かった内容を伝えます。
納税額の概算が出たら、資金繰り表の納付予定月へ記入します。その月までに入るお金と、給与・家賃・返済などで出るお金を並べ、納税後にいくら残るかを見ます。
利益の予想が合っていても、納税日にお金が残るとは限りません。 売上の入金が遅れる予定なら、その事情も含めて支出の時期を検討します。決算直前の買い物を決める前に、更新後の税額と預金の見込みを並べてください。
6. 今日やること
まずは、税理士へ確認するための一枚を作ります。未確定の欄は空欄にせず、「確認中」と書いて相談を進めます。
- 帳簿が何月分まで完成しているか確認し、未提出の資料を一覧にします。
- 決算までの売上・仕入れ・外注費を、確定分と未確定分に分けて書き出します。
- 税理士へ概算を依頼し、税目ごとの支払見込み額と次の見直し日を確認します。