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売上をつくる・約6

営業を代わりに頼む前に、何を渡す?

公開・あさひ国際会計株式会社

先に結論

営業を頼む前に、対象客と説明資料、約束してよい範囲をそろえます。少数の候補先で試し、商談の記録を見ながら任せる仕事を広げます。

営業を外部に頼むなら、候補先のリストを渡す前に「誰に、何を、どこまで約束してよいか」を書いて渡します。創業直後は、社長自身も売り方を試している途中です。口頭で「うまく説明してください」と頼むと、会いたい相手と違う商談が増えたり、引き受けにくい条件で話が進んだりします。

立派な営業マニュアルを作る必要はありません。最初は一枚の依頼メモに、商品資料と報告用の表を添えれば始められます。

1. 「誰でも歓迎」をやめ、声をかける相手を絞る

依頼先との打ち合わせまでに、今の商品で役に立てる相手を書き出します。「中小企業の経営者」だけでは、相手を選べません。業種や規模に加えて、どんな場面で困っている会社なのかを伝えます。

たとえば、店舗向けに予約管理の設定を請け負うなら、「予約を電話と紙で受け、営業時間中の対応に困っている店舗」まで具体化します。これなら、連絡する理由も最初に聞く質問もそろいます。

過去の受注が少ない段階では、対象客は仮説で構いません。ただし、現時点で対応できない相手も一緒に書きます。

  • 声をかけたい相手:業種、規模、地域、困っている状況
  • 話を聞きたい担当者:社長、店長、業務の責任者など
  • 対象から外す相手:提供地域外、必要な機能がない会社など
  • 連絡しない相手:既存顧客、商談中の会社、営業を断られた会社

名簿を自社と依頼先のどちらが用意するかも決めます。既存の商談に重ねて連絡しないよう、開始直前に除外先を照合してください。

2. 資料には「何をして、何をしないか」を載せる

会社案内だけを渡しても、商品をどう説明するかはそろいません。相手が購入後の仕事を想像できるよう、提供する作業、納品物、顧客側の準備を商品資料にまとめます。

料金表には、基本料金に含まれる作業と、追加料金になる作業を分けて載せます。金額をまだ決められない商品なら、見積もりに必要な質問を用意します。営業担当者が、その場の判断で金額を埋めなくて済む形にします。

渡す資料は、次の組み合わせで十分です。

  • 商品説明:解決する困りごと、作業内容、納品物、対象外の作業
  • 料金の説明:税込・税別の区別、含まれる費用、別途見積もりの条件
  • 進め方の説明:申込みから着手までの流れ、顧客が用意するもの
  • 質問への回答:よく聞かれることと、社長へ持ち帰る質問

開始前に、依頼先の担当者に資料を使って説明してもらいます。社長が聞き手になり、「この料金で全部やってくれますか」「来週から使えますか」と尋ねると、資料の足りない箇所が見つかります。

口頭で補った答えは、その日のうちに資料へ戻します。更新日を付け、共有先を一か所にまとめると、古い料金表で話が進むのを防ぎやすくなります。

3. 値引き・納期・成果の約束は、社長に戻す

説明してよいことと、決めてよいことは分けます。 商品に詳しくなった担当者でも、自社の空き時間や原価まで把握しているとは限りません。「その程度なら対応します」という一言が、受注後の負担につながります。

任せる範囲は、抽象的な「臨機応変に」ではなく、相手に伝えてよい言葉まで決めておきます。

  • その場で伝える:承認済みの料金、標準の作業内容、通常の進め方
  • 社長の確認を取る:値引き、短納期、分割払い、仕様の追加や変更
  • 約束しない:売上などの成果、未提供の機能、確認していない他社との優劣

納期は「通常の作業期間」と「今回の着手日」を分けて説明します。標準の期間を案内しても、個別の日程は社長が空きを確認して回答する運用にします。

持ち帰り先も必要です。質問を送る場所、社長が確認する時間、返答が遅れる場合の連絡担当を決めます。本業で日中に返せないなら、実際に確認できる時間帯を依頼先へ伝えてください。回答期限は、守れる範囲で相手と相談します。

4. 商談の件数より先に、引き継ぐ条件を決める

日程が入っただけでは、提案できる商談とは限りません。情報収集だけの相手や、自社では解決できない相談が続くと、社長の時間が埋まってしまいます。

どんな状態になったら社長へ渡すかを、営業開始前に合意します。たとえば「対象に合う会社で、困りごとを確認でき、商品説明を受けることに相手が同意している状態」と定めます。予算が不明でも引き継ぐのか、担当者だけとの面談でもよいのかも相談します。

報告用の表には、次の項目を用意します。

  • 相手の会社名、担当者、役割
  • 困っていることと、検討を始めたきっかけ
  • 希望する時期と、確認できた予算
  • 伝えた料金や条件、持ち帰った質問
  • 次の約束、対応する人、対応日

聞けていない項目は「未確認」と残します。空欄を推測で埋めると、社長が誤った前提で提案してしまいます。

報酬が商談件数に応じる場合は、支払い対象となる条件もこの段階でそろえます。重複した相手、対象外の相手、キャンセルや日程変更をどう扱うか、見積書や契約書に残してから始めます。

5. 最初の依頼は、見直せる量で始める

創業一年目は、営業先を増やすほど納品の余力が減ることもあります。最初から長期間、大量の連絡を任せるより、社長が報告を読める範囲で試すほうが、説明のずれを直しやすくなります。

開始時に対象先と試す期間を区切り、振り返りの日を予定に入れます。受注の有無だけで判断せず、どの説明で話が止まったかを確認してください。

  • 対象が違う:候補先を選ぶ条件を直す
  • 内容が伝わらない:最初の説明と商品資料を直す
  • 条件が合わない:料金や提供範囲を社長が検討する
  • 引き継ぎ後に止まる:社長の返信や面談の日程を見直す

依頼先だけに改善を任せず、自社側の資料や返答も点検します。続けると決めたら、直した内容を共有してから対象先を増やします。

6. 今日やること

まずは、営業を頼む相手に渡せる一枚を作ります。未定の欄は残し、開始前の打ち合わせで埋めてください。

  • 声をかけたい相手と、連絡しない相手を書く
  • 商品資料に、対象外の作業と社長の確認が必要な条件を追記する
  • 商談の引き継ぎ条件と報告項目を用意し、最初の振り返り日を決める

次の一歩

事前登録すると開始時に案内が届き、資料56本が開けます。