届出と保険・約6分
税理士を替えるとき、引き継ぐべき書類
公開・あさひ国際会計株式会社

先に結論
申告書だけでは、毎月の経理は引き継げません。創業1年目に集めたい書類とデータ、受け渡し後の確認を整理します。
1. 「何月分まで終わったか」を先にそろえる
税理士を替えるときは、書類を集める前に、何月分まで処理が済み、何が残っているかを一枚にまとめます。資料がそろっていても、入力途中の月が分からなければ、次の税理士は同じ取引を調べ直すことになります。
創業して初めての決算を迎えていない会社なら、申告書がまだないのは自然です。一方、設立時の届出や毎月の帳簿は、すでに作られている可能性があります。「決算前なので渡すものはない」と判断せず、契約終了前に、現在の税理士へ処理状況を尋ねてください。
- 帳簿への入力が終わっている月と、内容の確認まで終わっている月
- 未提出の領収書や、内容を確認中の取引
- これから提出・申告・納付するものと、それぞれの担当者
「今月まで対応」という説明では、今月受け取った資料までなのか、今月の取引までなのか曖昧です。対象期間を日付で書き、申告や給与計算を誰がどこまで担当するかも、新旧の税理士とそろえます。
2. 設立時の届出は、提出した証拠も受け取る
最初に集めたいのは、会社の税務上の扱いを確認するための書類です。作成済みのファイルだけでは、提出まで済んでいるか分かりません。電子申告なら受信通知など、提出状況を確認できる記録も組にして受け取ります。
たとえば青色申告や消費税に関する届出は、次の税理士が申告方針を確認する材料になります。届出の正式名称が分からない場合は「設立から現在までに提出した申請書・届出書の控え一式」と依頼し、新しい税理士に不足を見てもらうと進めやすくなります。
- 法人設立届出書、青色申告の承認申請書などの控え
- 給与や源泉所得税に関する届出書・申請書の控え
- 消費税に関する届出書の控え、インボイスの登録通知
- 税務署や自治体から届いた通知、提出時の受信通知
定款や登記事項証明書も会社側で用意します。設立後に本店所在地などを変えていれば、変更内容と届出状況を添えてください。必要な届出の有無や効力は、税理士に確認します。
3. 帳簿はPDFと移せるデータをそろえる
次に、設立から引き継ぎ時点までの帳簿を集めます。毎月の残高や利益を見る試算表に加え、取引を一件ずつ追える仕訳帳と、勘定科目ごとの動きが分かる総勘定元帳を依頼します。
読むためのPDFと、次の会計ソフトへ移すためのデータは別に確認します。 PDFだけでは再入力が必要になる場合があります。逆にCSVだけを受け取っても、税区分や補助科目がうまく移らないことがあります。
会計ソフトを替える予定なら、先に新しい税理士へ受け取れる形式を聞き、その形式で書き出せるか現在の税理士に相談します。
- 月別の試算表、仕訳帳、総勘定元帳
- 会計ソフトの引き継ぎ用データと、出力した日付
- 売掛金・買掛金・借入金などの残高明細
- パソコンや車など、購入した資産を管理する固定資産台帳
残高明細には、金額だけでなく中身も必要です。「売掛金が残っている」なら、どのお客さんへの何月の請求か。「社長からの借入金」なら、いつ会社へ入れたお金かを追える状態にします。
クラウド会計を使っている場合は、会社自身がログインして閲覧・出力できるかも確認してください。税理士事務所の契約にひもづいている場合は、解約後の利用方法やデータの受け取り方を先に相談します。
4. 領収書と申告書は、帳簿の根拠として渡す
帳簿の数字を確かめるには、請求書や通帳などの元資料も要ります。現在の税理士が紙の原本を預かっているなら、何を返してもらうか一覧にします。会社にある資料は、税理士から戻ってくる資料と分けて整理すると、重複や抜けを見つけやすくなります。
メールやクラウドで受け取った請求書は、元の電子データも引き継ぎ対象に含めてください。会計ソフトに添付している場合は、仕訳データとは別に取り出す必要があるかを確認します。
- 請求書、領収書、通帳の明細、カードの利用明細
- 借入金の返済予定表、リース契約書、売買契約書
- 給与台帳、源泉徴収簿、役員報酬を決めた議事録
- 決算済みなら、決算書、申告書一式、受信通知、納付の記録
申告書は表紙だけでなく、計算の内訳や添付書類も含めて依頼します。赤字の繰越など、翌期へ続く情報があるためです。どこまでそろっているか判断できなければ、受け取ったファイル一覧を新しい税理士に見てもらいます。
給与資料には個人情報が含まれます。共有先を限定し、マイナンバーなどは通常の資料と分けて、受け渡し方法を確認してください。
5. 引き継ぎ完了は「開けて使える」まで
送信しただけで引き継ぎを終えると、初回の月次処理で不足に気づくことがあります。受領、読み込み、残高の一致まで確認して完了とします。
まず会社側でも共有フォルダを開き、対象期間とファイルの中身を確認します。そのうえで新しい税理士に、帳簿を読み込めたか、引き継いだ月末残高が元の試算表と合うかを確認してもらいます。
- ファイルが開き、依頼した期間の資料が入っているか
- 現預金・売掛金・借入金などの残高が引き継がれているか
- 不足資料について、誰がいつまでに用意するか決まっているか
電子申告の利用者情報や代理送信の設定も、変更手順を新しい税理士に確認します。会社の銀行パスワードをまとめて渡すような対応は避け、必要な情報と権限を個別に整理してください。
確認が済んだら、確認後、旧事務所の共有権限を外します。会社でも控えを保管し、保存期間や方法は税理士に確認し、自社でも控えを残します。
6. 今日やること
まずは資料の有無と所在を一枚に書き出してください。分からない欄を空欄のまま新しい税理士に渡せば、追加で依頼するものを絞れます。
- 「資料名・対象期間・保管先・受領状況」の一覧を作る
- 現在の税理士に、処理済みの月と預けている原本を確認する
- 新しい税理士に、必要なデータ形式と受領後の確認日を相談する