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売上をつくる・約6分

提案は一案だけ?選べる三案の作り方

公開・あさひ国際会計株式会社

先に結論

範囲・納期・料金を分けると、お客さんが選ぶ基準が見えてきます。小さな会社でも無理なく受けられる三案の作り方を整理します。

1. 三案を作る前に、外せない条件を聞く

提案を三案にするなら、お客さんが何を優先して選ぶのかを先に聞きます。料金だけを変えた三案では、「安いものでお願いします」で終わりやすくなります。予算を抑えたいのか、急いで使いたいのか、社内の作業を減らしたいのか。その違いを、頼む仕事の範囲に反映させましょう。

創業したばかりで受注が欲しい時期は、頼まれそうな作業を全部盛り込みがちです。ただ、一人で営業も納品も担当するなら、引き受けた後に回せるかまで考える必要があります。提案書を開く前に、商談のメモから次の条件を拾ってください。

  • 何を、いつから使う予定か
  • 今回の発注で解決したい困り事は何か
  • お客さん側で用意できる資料や作業は何か
  • 予算と開始日のうち、動かせるのはどちらか

たとえば会社案内の制作なら、「展示会で配りたい」のか「営業メールに添付したい」のかで必要な形が変わります。印刷物が必要な相手に、安いからとデータ納品だけの案を出しても選択肢になりません。

まだ条件が分からないときは、見積もりを三つ作る前に確認の連絡を入れます。どの案も、今回の目的を満たすことが出発点です。

2. 範囲は「完成品」と「誰が作業するか」で分ける

三案の違いは、納めるものと作業の分担から作ると整理しやすくなります。「簡易・標準・充実」と名前をつけるだけでは、お客さんは何を手伝い、何を任せられるのか判断できません。

会社案内の制作を例にすると、次のように分けられます。ここでは、どの案でも営業に使う会社案内のデータを納める前提です。

  • 素材支給案:お客さんが原稿と写真を用意し、こちらは構成とデザインを担当する
  • 原稿作成案:資料と打ち合わせをもとに、こちらが原稿作成からデザインまで担当する
  • 配布準備案:原稿とデザインに加え、送付メールの文面と社内向けの使い方資料も作る

安い案でも、合意した完成品の品質は守ります。誤字の確認を省くなど、納品後の問題につながる差はつけません。料金を下げるなら、成果物を絞るか、お客さんが担当する作業を増やします。

とくに初めて組む相手には、「原稿をご用意ください」の中身まで示したいところです。項目だけ埋めればよいのか、掲載できる文章まで仕上げるのかで負担が違います。支給してもらう資料の一覧を添えると、安さだけで選んだ後の行き違いを減らせます。

3. 納期と料金は、各案の作業を積み上げて決める

範囲が決まったら、案ごとに自分の作業時間を見積もります。制作する時間に加えて、打ち合わせ、資料の整理、確認の連絡、修正にも時間がかかります。創業1年目で経験が少なければ、似た仕事の実績や予定表を見返し、抜けた作業がないか確かめましょう。

料金差は、この作業量と外注費などをもとにつけます。真ん中の案を選んでほしいからと、根拠なく上下の価格を離すと、質問されたときに説明が苦しくなります。

  • 作業ごとの予定時間と、外部に払う費用を書き出す
  • お客さんの確認待ちを含め、提出と返答の予定を置く
  • 進行中の仕事と重ねて、引き受けられる日程か確認する
  • 各案の料金・支払条件・着手金の有無を記載する

お客さんが原稿を書く案は、こちらの作業が少なくても早く終わるとは限りません。原稿の準備に時間がかかるなら、こちらで書く案のほうが希望日に間に合う場合もあります。

納期には、着手の条件も添えます。 「発注後に着手」だけで済ませず、必要な資料がそろう日や、お客さんから返答をもらう日を示してください。提出が遅れた場合の日程は再相談すると書いておけば、無理な短納期を一人で抱え込まずに済みます。

4. 比較する項目をそろえ、向いている相手を書く

提案書では三案を同じ順番で並べます。ある案には修正の条件があり、別の案には料金しかない状態では、お客さんが違いを探す手間が増えます。見た目を整える前に、比較に必要な項目をそろえてください。

  • 納めるものと、含まない作業
  • お客さんに用意してもらうもの
  • 提出日程と確認の期限
  • 修正の範囲と追加依頼の扱い
  • 料金、消費税の表示(税込・税抜の別)、支払条件

その下に、選ぶ基準を短く添えます。素材支給案なら「掲載する文章と写真がそろっていて、費用を抑えたい場合」、原稿作成案なら「伝える内容は決まっているが、文章を書く時間が取れない場合」と書きます。

配布準備案も、単に「手厚い支援」とせず、「完成後すぐに営業担当へ渡して使い始めたい場合」と示すと、追加料金の使い道が伝わります。

説明の順番は、商談で聞いた優先事項に合わせます。料金の低い案から機械的に読み上げるより、「原稿を書く時間が取れないと伺ったので、原稿作成案をおすすめします」と理由を添えたほうが、相手も自社の事情に照らして考えられます。

5. 選ばれた案は、変更点を直してから受注する

三案を見たお客さんから、「この案に、あちらの作業だけ足せますか」と聞かれることもあります。その場で軽く了承せず、追加する範囲と、料金・納期への影響を確認して返答します。

組み合わせを変えたら、最終的に選んだ内容を一つの見積書や発注内容にまとめ直してください。元の三案とメールのやり取りだけを残すと、どこまで含めたか分からなくなりがちです。

  • 採用する成果物と作業範囲を確定する
  • お客さんの担当作業と提出日を確認する
  • 変更後の料金・納期を書面で了承を得る

反応が薄いときも、すぐ値下げする必要はありません。「判断しにくいのは、作業の違いと料金のどちらでしょうか」と聞けば、説明を足すべき場所が見えます。

なお、目的を満たして採算も合う案が二つしかなければ、無理に三つ目を作らなくて構いません。受注しても困らない案だけを並べます。

6. 今日やること

次の商談に出す提案を一件選び、まず手元のメモで三案を組み立ててください。条件が足りない箇所が見つかったら、提案前の確認事項に戻します。

  • お客さんの目的・希望日・担当できる作業を一枚に書く
  • 作業範囲の違う案を作り、それぞれの納期と料金を積み上げる
  • 各案に「どんな事情の相手に向くか」を一文ずつ添える

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