本文へ進む
創業GO!
ログイン

届出と保険・約6

業務中にけが、社長は何から動く?

公開・あさひ国際会計株式会社

先に結論

仕事中のけがは、救護と受診を先に進めます。状況の記録、労災の相談、申請までを従業員と社長に分けて整理します。

1. まず作業を止め、救護と受診を優先する

仕事中にけが人が出たら、作業を止めて安全を確保し、救護と受診を先に進めます。一人社長や少人数の会社では、納品や店の営業が気になるかもしれません。事故直後は、残りの仕事を誰に頼むかより、けが人への対応を優先してください。

重いけがが疑われるときは119番へ連絡し、通信指令員の指示に従います。救助する側も危険な場所に入らず、動いている機械などへの接近を止めます。社長自身がけがをした場合も、無理に業務を続けず、周囲に助けを求めてください。

受診先には、受付の時点で「仕事中に起きたけがです」と伝えます。労災の書類が手元になくても、準備のために受診を遅らせる必要はありません。

  • 事故現場の住所と、建物内の場所を伝えます。
  • 何が起きたか、けが人が何人いるかを伝えます。
  • 意識や呼吸など、分かる範囲の状態を伝えます。

労災になるかの判断や書類作成は、救護の後です。 社長が付き添うなら、取引先への連絡や店の戸締まりを誰かに頼み、対応を一人で抱え込まないようにします。

2. 当日中に、見た事実を残す

安全が確保できたら、事故の状況を記録します。できれば当日中に、本人と目撃者からそれぞれ話を聞いてください。痛みが強い本人に説明を急がせず、先に周囲の人が分かることを残します。

「不注意で転んだ」と原因を決めつけるより、「荷物を運んでいる途中、入口の段差で足を取られた」と動作を書きます。誰が悪かったかを決める聞き取りにすると、本人が話しにくくなり、後から必要な事実が抜けやすくなります。

  • 発生した日時、場所、作業内容を記録します。
  • けがに至る動きと、使っていた道具を記録します。
  • 目撃者、受診先、会社が取った対応を記録します。
  • 欠勤、早退、仕事内容の変更を日付ごとに記録します。

現場写真や勤務記録、作業指示のメールも保存します。ただし、撮影のために危険な状態を残してはいけません。救護や二次事故の防止で現場を動かした場合は、何を変えたかをメモすれば足ります。写真や診療情報は、手続きに必要な人に限って共有してください。

3. けがをしたのは従業員か、社長か

最初の相談で伝えるべきなのは、けがをした人の働き方です。従業員の労災と、社長自身の補償は同じ扱いではありません。

従業員の場合、パートやアルバイトでも労災保険の対象になり得ます。会社の加入手続きが済んでいないからといって、申請を諦めさせないでください。未手続きの事実も含め、事業場を管轄する労働基準監督署へ相談します。

一方、会社の代表者は、通常、従業員と同じ労災保険の対象にはなりません。一定の条件で事業主なども補償を受けられる仕組みを「特別加入」と呼びます。加入済みでも、事故当時の業務が補償対象に入るかの確認が必要です。事故後に加入すれば今回のけがも補償される、とは考えないでください。

  • 従業員なら、雇用契約と実際の勤務状況を確認します。
  • 社長なら、特別加入の有無と加入先を確認します。
  • 外注先の人なら、契約と実際の働き方を確認します。

外注という契約名だけでは判断できない場合もあります。迷ったら、社労士や労働基準監督署に仕事内容と指示の出し方を説明します。労災に該当するかは、会社だけで決めるものではありません。

4. 受診先への確認から、給付の申請へ進む

従業員が仕事中にけがをした場合、業務災害の治療には原則として健康保険を使いません。病院には仕事中の事故だと伝え、労災保険の指定医療機関か、必要な書類は何かを確認します。すでに健康保険で受診した場合は、医療機関と加入先の健康保険へ早めに連絡し、切替方法を聞いてください。

指定医療機関かどうかによって、治療費の手続きは変わります。窓口で支払った場合は、領収書や診療の明細を保管します。会社が立て替えるときも、誰がいつ、いくら払ったかを残しておくと、その後の精算を整理しやすくなります。

相談時には、次の順で確認すると話が進みます。

  • 医療機関に、治療費の扱いと提出書類を聞きます。
  • 労働基準監督署に、事故状況と休業の有無を伝えます。
  • 案内された請求書に、本人・会社・医師の必要事項をそろえます。
  • 提出先と期限を確認し、控えを保存して申請します。

治療費の給付と、働けず賃金を受けられない期間の給付は、別の手続きです。会社が行う休業補償や給与計算の扱いもあるため、欠勤を一律に無給や有給休暇として処理せず、社労士などに確認します。本人が療養中なら、会社側で記入できる部分と資料集めを進めて負担を減らしてください。

5. 労災の請求とは別に、会社の事故報告を確認する

本人が治療費などを請求する手続きと、会社が労働基準監督署へ事故を報告する手続きは別です。労働者が業務中の事故で死亡したり休業したりした場合などに提出する書類を「労働者死傷病報告」と呼びます。

提出時期や方法は、休業日数などで変わります。「労災の書類を病院に出したから終わり」とせず、会社から監督署へ報告の要否も確認してください。受診当日は休まない予定でも、後から休業が必要になることがあります。

  • 休業の見込みが変わったら、相談先に連絡します。
  • 会社の報告と本人の請求を、別々に管理します。
  • 作業を再開する前に、事故箇所の対策を確認します。

本人の不注意があったという理由だけで、報告や申請を見送らないでください。復帰するときは医師の指示を踏まえ、持てる荷物や作業時間を本人と確認します。同じ作業をする人がいれば、注意を呼びかけるだけで済ませず、道具の置き方や作業手順も直します。

6. 今日やること

事故が起きているなら救護を先に進め、まだ起きていなければ連絡先と記録の置き場所を決めてください。社長が動けないときでも、対応を引き継げる形にします。

  • 管轄の労働基準監督署と、加入している保険の連絡先を保存します。
  • 日時・場所・作業・受診先を記入する事故記録のひな形を用意します。
  • 社長自身の特別加入や傷害保険の加入状況を、契約書類で確認します。

次の一歩

事前登録すると開始時に案内が届き、資料56本が開けます。