税金と消費税・約6分
売れ残った商品、期末にどう数える?
公開・あさひ国際会計株式会社

先に結論
期末に残った商品は、数量と仕入れた金額をそろえて税理士へ渡します。数える準備から、傷んだ商品の記録まで順に進めましょう。
1. 売れ残りも数えないと、利益がずれます
決算では、期末に残った商品を数え、仕入れた金額と合わせて税理士に渡します。手元の商品と帳簿の記録を照らし合わせる作業が「棚卸し」です。小さな通販や店舗でも、最初の決算から準備が要ります。
商品を仕入れて代金を払っても、その全額が当期の売上に対応する費用になるとは限りません。通常、期末に売れ残った分は在庫として資産に残し、売れた分に対応する仕入れの金額を「売上原価」として計算します。
数え漏れで在庫が少なくなると、売上原価が多くなり、利益は実際より少なく出ます。反対に、売上を計上した出荷済みの商品まで数えると、利益が多く出る場合があります。期末に残った数量と、その商品を仕入れた金額をそろえるのが出発点です。
確認する場所を、先に書き出してください。
- 店舗や事務所の棚、引き出し
- 自宅や車に置いている販売用の商品
- 外部倉庫や販売委託先に預けている商品
- 返品を受け取り、確認待ちになっている箱
2. 決算月に入ったら、数える表を用意します
期末当日に表を作り始めると、商品名を調べるだけで時間が過ぎます。決算月に入ったら、仕入れや販売の一覧から商品を抜き出し、表計算ソフトなどで棚卸表を作っておきます。管理システムがあれば、その在庫一覧を土台にして構いません。
同じ名前でも、サイズや色、型番で仕入単価が違うなら行を分けます。「小物一式」とまとめると、後から数量や金額を確かめられません。商品コードがなければ、自分が現物と照合できる名前を付けます。
表には、次の欄を用意します。
- 商品名・型番と保管場所
- 数量と数える単位
- 仕入単価と、その根拠となる請求書などの番号
- 傷みや返品などの状態
- 数えた日と担当者名
箱売りと単品売りが混ざる商品は、単位にも注意します。「箱」で記録するのか「個」に換算するのかを先に決め、途中で変えないようにします。
同じ商品を違う価格で仕入れている場合、どの単価を使うかは会社の評価方法によります。直近の仕入価格や平均額を自己判断で使わず、税理士に確認してください。ひとまず仕入先、日付、数量、単価が分かる資料を集めておけば、確認が進みます。
3. 期末は入出荷を区切ってから数えます
棚卸しは、期末時点の在庫を確かめる作業です。数えている途中に荷物が届いたり出荷したりすると、二重計上や数え漏れが起きます。営業終了後など、商品の移動が少ない時間を選びましょう。
一人で数えるなら、棚の左上から順に進め、数え終えた区画に付箋を貼ります。複数人なら棚ごとに担当を分けます。帳簿の数量をそのまま写さず、現物を見て記録してください。
当日の作業は、次の順で進めます。
- 入荷待ち、出荷待ち、返品の商品を分けて表示する
- 棚や箱ごとに現物を数え、棚卸表へ記入する
- 数え終えた区画に印を付ける
- 帳簿と違う商品だけ、再度数える
決算日当日に数えられない場合は、別の日の数量から期末時点へ戻す必要があります。たとえば期末後に数えたなら、その間の入荷分を引き、出荷分を足すなどの調整をします。返品や商品の移動もあるため、実施日と調整方法は事前に税理士へ相談しましょう。
外部倉庫には期末日付の在庫明細を依頼します。また、手元にある他社からの預かり品と、自社が外部に預けている商品は別々に記録します。配送中の商品や出荷済みでも売上未計上の商品は、現物の場所だけでは判断できません。発注・納品・売上の資料を添えて、どちらの期に含めるか確認します。
4. 傷んだ商品も、捨てる前に記録を残します
箱がつぶれた、変色した、期限が過ぎたなど、販売しづらい商品を見つけても、棚卸表から消さず、通常の商品と分けて数えます。「売れそうにない」という見込みだけで、在庫をゼロ円にしないでください。
長く売れていない商品と、破損などで価値が下がった商品では、判断に必要な事情が違います。値下げを予定しているだけで、税務上も同じように在庫の金額を下げられるとは限りません。
状態を説明できるよう、商品ごとに記録を残します。
- 商品名、数量、仕入時期、仕入金額
- 傷みの内容と、発見した日
- 全体と傷んだ部分が分かる写真
- 販売期限や品質を確認できる表示
- 値下げ、返品、廃棄などの対応状況
廃棄した場合は、実施日、数量、理由、処分方法を記録し、処分時の写真や業者の伝票なども残します。「廃棄予定」と「廃棄済み」は分けてください。期末には残っていた商品を翌期に処分したなら、その日付も伝えます。
在庫の価値を下げて費用に計上する「評価損」や、廃棄に伴う処理が認められるかは、事実関係や証拠によって判断が変わります。写真があれば足りると考えず、処分前に税理士へ確認すると、記録の不足を防ぎやすくなります。
5. 税理士には、合計額と迷った商品を渡します
数え終わったら、商品ごとの数量と単価を確認し、合計額を出します。ただし、単価が未確認の商品を空欄のまま合計すると、在庫を少なく集計してしまいます。未確認の行には印を付け、暫定の合計であることを伝えましょう。
帳簿との差が出た場合も、理由を付けずに数字を合わせないでください。入荷の入力漏れ、返品の未処理、箱と個の取り違えなどを確認し、分からなければ差額と調査状況をそのまま共有します。
提出する資料は、次を一組にします。
- 数量・単価・合計額を記載した棚卸表
- 単価の根拠となる仕入資料
- 傷みや廃棄の記録と写真
- 帳簿との差や、計上時期に迷う商品の一覧
提出日は決算作業に間に合うよう、税理士と決めておきます。修正したときは日付を付け、どれが最新版か分かる形で渡してください。
6. 今日やること
まずは商品がある場所を洗い出し、期末に数える時間を予定に入れます。税理士が未定でも、数量と仕入資料、商品の状態は先に記録しておきましょう。
- 自宅や外部倉庫も含め、商品の保管場所を書き出します。
- 在庫一覧に数量・単価・状態の欄を作り、数える日を決めます。
- 傷んだ商品を分けて撮影し、単価の決め方と一緒に税理士への確認事項に加えます。